町内会の「無理やり感」は変えられるか? "強制"をやめたらPTAも町内会も潰れる!?

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紙屋:もうひとつの考え方は、昔いた学童擁護員、いわゆる「みどりのおばさん」みたいな職種の人を、行政が雇用してもいいんじゃないかと思うんです。ちゃんと報酬を渡して。これは今でも実際にやっている自治体はありますし。

大塚:通学路の交通量が多くて明らかに危険があるような場合は、そうでしょうね。行政が公費で対応してしかるべきだと思います。

紙屋:自治会だと「(強制をやめて自治会がなくなったら)街灯の管理は誰がするんですか?」という話がよく出るんですが、本にも書いた通り、これはそもそも行政がやることだと思うんです。みんな「自治会でやらなきゃいけない」と思いこんでいるけれど、街灯を自治会が管理していない地域だってあるんですよ。

たとえば東京都の中野区のように自治会加入率が低いところは、もうやっていませんし、横浜はいま、市に移行中です。そういうことを知っていれば、「自治会でやらなくてもいいんですね」って言えるんですけれど。

大塚:東京はそうなんですか! というか、そもそも街灯を自治会が管理しているというところにビックリです……。普通に考えて行政の仕事じゃないですか?

紙屋:そうですよね、みんなまずそこで驚きます(苦笑)。街灯は社会的インフラですから、行政が管轄するのが当然だと私も思います。

“輪番制”という強制の長所と短所

大塚:自治会の「班長さん」は「輪番制」だというのをよく聞きますね。拒否権がなく仕事がまわってくるのだと困る人も多そうですが、なんとかならないものでしょうか?

紙屋:私が作った新自治会では輪番制の仕事をなくしましたけれど、輪番制にも、いちおうメリットはあると思うんです。半強制的ではありますが、どんどん交代していくほうが、新しい人が体験を積み重ねていけるので、担い手を増やしていくことができます。輪番制をやめると体験する人が減っていくので、放っておくとおのずと固定メンバーになっていってしまいます。

体験してみたら「意外と楽しかったね」とか「けっこう大事な仕事ですね」と気付くことは、けっこうありますからね。僕だって校区の行事で聞きたくもない講演を聴いて、「あ~、意外と面白かったな」と思うことはあるので(笑)。

大塚:なるほど、それはあるかも……。

紙屋:ただ、僕はそれは「次善の策」だと思います。民主主義社会ですから、「自発性」に基づいてやるのがやはりいいと思う。輪番制というのは、「ある程度、合理性はありますね」というくらいのものじゃないでしょうか。

大塚:輪番制のせいで自治会を辞める人も多いでしょうね。今、自治会の加入率がどんどん下がっているのは、そのせいだと思いますし。

紙屋:そうですね。「無理やり引き込むことの良さ」というのもありますけれど、俯瞰してみると、やっぱり軋轢を生じやすいです。自治会の場合、「もう、辞めます」というのがPTAよりは気軽に言えますしね。賃貸の住民が多いところは、とくに。そうしたら自治会のほうも、「じゃあいいです、しょうがないですね」と言わざるを得ません。輪番制を続けていたら、非加入が増えるのはやむを得ないでしょう。

大塚:PTAの場合、「辞めます」と言うのは現状まだハードルが高いですけれど、やはり今後はだんだんと増えていく気がします。退会する人や訴訟を起こす人も、徐々に出てきているので。

やっぱり、強制を続けていたら立ち行かなくなるんじゃないですかね、PTAも自治会も。

 

大塚 玲子 ノンフィクションライター

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おおつか れいこ / Reiko Otsuka

主なテーマは「いろんな形の家族」と「PTA(学校と保護者)」。著書は当連載「おとなたちには、わからない。」を元にまとめた『ルポ 定形外家族』(SB新書)のほか、『PTAでもPTAでなくてもいいんだけど、保護者と学校がこれから何をしたらいいか考えた』(教育開発研究所)『さよなら、理不尽PTA!』(辰巳出版)『オトナ婚です、わたしたち』(太郎次郎社エディタス)『PTAをけっこうラクにたのしくする本』(同)など。テレビ、ラジオ出演、講演多数。HP

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