ギリシャ離脱か残留か、悲劇は最終幕へ 猶予は72時間、歯車一つの狂いも許されない

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7月12日の首脳会談でもまたも、支援協議はまとまらず(左からギリシャのツィプラス首相、ユンケルEU委員長、フランスのオランド大統領、©European Union, 2015)

ギリシャ支援合意の最終期限とされた7月12日のユーロ圏首脳会議は日本時間の正午現在(現地時間では翌朝5時)でまだ続いている。それに先駆けて行われたユーロ圏財務相会合では、新たな支援に向けた交渉を再開するにはギリシャ側の一段の措置が必要とし、結論は持ち越された。ギリシャ政府がさらに踏み込んだ改革法案を議会で可決するのに与えられた猶予期間は15日までの3日間。ドイツ政府はギリシャがさらなる緊縮を受け入れないのであれば、一時的なユーロ離脱を要求している。ギリシャ支援協議はいよいよ大詰めを迎えている。

金融システムの崩壊とユーロ離脱の危機に直面するギリシャのツィプラス首相は、5日の国民投票後、緊縮受け入れに反対する民意を盾に債権者側に譲歩を求めるとの投票前の呼び掛けとは裏腹に、早期の融資再開に向けて歩み寄りの姿勢を見せてきた。

支援協議の再開に先駆けて、主要政党の党首から今後の支援協議での政権への支持を取り付けたほか、歯に衣着せぬ発言で債権者の間で評判が悪かったバルファキス財務相を穏健派のツァカロトス外務副大臣に交代させた。さらに、6月末時点の債権者側の要求をほぼ全面的に受け入れた財政再建策を提出し、同案に基づいてツィプラス政権が債権団と交渉する権限を与える法案を議会で可決し、改革実行への決意を示した。

銀行の営業停止と資本規制で事態は一層厳しく

こうしたギリシャ側の合意を模索する動きに対して、フランス政府や欧州委員会がギリシャのユーロ離脱回避に向けて関係各国の説得に動き出したこともあり、12日のユーロ圏首脳会議までの合意実現への期待感も高まっていた。だが、そうした期待はまたも裏切られた。

債権者側の言い分はこうだ。6月末に債権者が提示した財政再建策は、中断していた二次支援プログラムを再開するのに当たってギリシャが必要な措置であった。ギリシャ政府が要請している今回の新たな金融支援は3年間で総額535億ユーロ(日本円にして7兆2760億円)と当初の想定を大きく上回る。しかも、6月末からの銀行の営業停止と資本規制の導入で経済環境の前提が大幅に狂っているうえ、銀行の営業再開に向けた資本増強資金など銀行救済費用も必要となる。最終的な支援総額は820~860億ユーロ(11兆円を超す)に上ると見積もられている。

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