ギリシャ危機はユーロ相場の絶好の押し目

"壮大な投機"の効果は一時的

ギリシャショックが駆け巡った6月29日のユーロ円の安値は1ユーロ=133円台、底堅さが見られた

5月以降、為替市場の取引材料はギリシャ情勢一色である。6月30日に期限とされていたIMF(国際通貨基金)への返済は結局、反故にされ、以降の融資が凍結された状態にある。また、第2次金融支援の枠組みも6月30日をもって失効し、ギリシャ経済は文字通り宙ぶらりんの状態にある。IMFはギリシャ当局の要請に応じて返済期限の延長を検討している模様だが、7月5日に実施される国民投票の結果が判明するまでは結論は持ち越される可能性が高い。

ユーロ相場の不思議な底堅さのワケ

振り返ってみれば今年1月の政権発足時からチプラス政権のスタンスは全くぶれなかった。これに対し、トロイカ(欧州委員会・ECB<欧州中央銀行>・IMF)はこれに振り回され続けた。元より資金も信頼もないギリシャはユーロ離脱さえ回避できれば良く、そのユーロ離脱はトロイカも避けたい選択であることを踏まえれば、こうした結果は必然だったのかもしれない。トロイカが本気でギリシャを離脱させる展開を考え始めない限り、結局はギリシャの望み通りの展開に着地する茶番劇が続くしかない。

いずれにせよ、事態は着実に市場の想定していた最悪シナリオ(ギリシャのユーロ離脱)へ振れている。本件に関しては日々目まぐるしくヘッドラインが入れ替わり、もはや理路整然とした予測は困難である。だが、ユンケル欧州委員会委員長やデイセルブルム・ユーログループ議長からもギリシャのユーロ離脱を示唆するような言動が出ているあたりに、これまでとは違う緊張感を覚える。欧州委員会やユーログループは欧州の拡大・深化の旗振り役であり、加盟国の離脱などという芽は即座に摘まなければならない立場にある。その彼らがサジを投げるほど、ギリシャの交渉態度は不遜なものになっているのである。

ギリシャとトロイカの交渉状況はさておき、多くの市場参加者にとって解せないのは事態が緊迫化する中にあっても、5~6月のユーロ相場が堅調であったことではないか。例えばユーロの名目実効相場を見ると、ギリシャを巡る混乱とは裏腹に4月半ばに底打ちしており、反転の兆しが見られる。

過去2か月間以上、対ドルだけではなく、大多数の通貨に対しユーロ相場は上昇しているのが実態である。筆者は従前より世界最大の経常黒字や高めの実質金利を理由として「ファンダメンタルズに従えばユーロは買われるべき通貨」という基本認識を抱いてきた(筆者のユーロ圏経済・通貨ユーロ・ECBに対する認識に関しては拙著『欧州リスク:日本化・円化・日銀』をご参照頂きたい)。

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