外骨格ロボットは「人間の能力」を拡張する 若きスーパークリエーターが考えていること

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ハウステンボスというメジャーな施設で採用されたことで、スケルトニクスの知名度もアップ。商業イベントや科学館などのサイエンスショーに呼ばれる機会が増え、それが会社の収益の柱となっていった。そのうちに海外からも声が掛かるようになり、2014年中に米国、シンガポール、オーストリアで展示。

こういった実績が認められ、同年9月、ロボットベンチャーとしてスケルトニクスをけん引してきた白久は情報処理推進機構が認定した9人の「スーパークリエータ」のうちの一人に選出された。2010年に沖縄高専の仲間3人の思い出作りで始めたプロジェクトが、わずか4年にして公的に認められる事業にまで発展したのだ。

2014年には紅白にも出場

2号機に搭乗する白久。スケルトニクスの価格はおおよそ1000万円前後で、注文モデルや外装などの仕様によって異なる

この勢いは衰えることなく、CMやテレビからも声が掛かるようになる。昨年末の紅白歌合戦、氷川きよしの舞台でおかめとひょっとこの巨大なお面をつけて、コミカルに動いていた2機のロボットもスケルトニクスのものだ。

そして、同年12月には海外からスケルトニクス購入のオファーが届いた。会社のホームページに掲載されている問い合わせ先のメールアドレスから連絡してきたのは、アラブ首長国連邦のドバイ首長国首相オフィス。これには、普段はクールな白久も仰天した。

「ドバイで政府系のサミットが開催されていて、そこで3日間の臨時イベントがあるから、スケルトニクスを展示して、それをそのまま売って欲しいというメールが来たんです。メールの最後に、アラビア語と英語でドバイ首相オフィスと署名があって、絶対嘘だろうと思ったんですけど、ガバメントを意味するgovというドメインがついていて、もしかしたら本当かもしれないと思って返信したら、12月末には担当者が日本にまで来てくれて、本当の話だとわかりました(笑)」

ドバイ首長国首相オフィスに販売した5号機スケルトニクス・アライブ

納期が1月末というハードなスケジュールだったが、スケルトニクスは量産体制が整っているのも強みのひとつ。未踏事業の一環で製作したスケルトニクスの第5世代のコピーを1カ月で作り、展示に間に合わせた。

白久たちは当初の契約通り、ドバイ首長国首相オフィスにもスケルトニクスを売却。ハウステンボスへの売却益とこれまでのイベント出演料を合わせて十分な資金を得て、今年4月、中野上町の30㎡のオフィスから、100㎡ある高尾のラボへと移転した。高尾への移転は、会社設立の目的を果たすためだ。

「僕らがなぜスケルトニクスのシリーズを作っているのかというと、エグゾネクスを作るため。ドバイに売れて資金も増えたので、ラボを拡張して、エグゾネクスの製作を一気に加速させるために高尾に来ました。最近は、イベントの仕事がある時以外、8、9割はエグゾネクスの開発をしています」

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