外骨格ロボットは「人間の能力」を拡張する 若きスーパークリエーターが考えていること

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白久は「エグゾネクスを完成できれば、会社自体が終わってもいい」と語る。それほどまで力を入れている新型ロボットは、どのようなものなのだろうか。

「スケルトニクスはロボコンで使った技術を応用して実体化したロボットですけど、エグゾネクスは根本から考え方が違います。たとえば、装着することで重いものを持ち上げたり、人型としての機能の向上を目指しています。さらに、何らかの形でタイヤがついていて、トランスフォーマーのように変形し、装着したまま移動できる構造になっています」

パワードスーツの要素も備える高性能ロボット

人間が装着し、身体能力が拡張するロボットはパワードスーツと呼ばれる。日本政府が平成27年度防衛省概算要求で、「高機動パワードスーツ」の研究開発費として9億円を計上しているように、国家レベルで開発が進められている最先端の科学技術だ。

エグゾネクスは、パワードスーツの要素を備えつつ、可変構造でタイヤを使った移動を想定しているという。これは前代未聞の取り組みで、白久も「世界にまだないモノを作っているつもり」と話す。その開発のモチベーションは、「ロボットに乗りたい」「世界で一番のモノを作りたい」という白久や阿嘉の好奇心がベースになっているが、エグゾネクスが完成すれば、それは社会貢献にもつながっていく。

「エグゾネクスについて1年以内に何らかの形で発表したい」

「エグゾネクスは人が避けてきたような作業を代替してくれるロボットなので、社会に良い影響を与えてくれると思います。人が装着したまま変形し、そのまま移動できるエグゾネクスは、スケルトニクス以上にいろんな可能性を見せてくれるでしょう」

エグゾネクスの全体像はまだベールに包まれているため、話だけを聞いているとアニメや映画の世界の話に思えるが、白久は夢物語を口にしているわけではない。完成の目途を尋ねると、「1年内に何らかの形で発表したい」と意気込んだ。

「ロボコンで4年間かけて目標を達成した後、すべてがどうでもよくなって、コンビニでレジ打ちをしたくなりました。エグゾネクスを完成させた後も、きっと同じような感じになるんじゃないかなと思います。だからいまは、エグゾネクスを作った後のことは考えていません。完成に向けてまっすぐに走るだけです」

ロボットといえば近年、国内外の名門大学やグローバル企業、あるいは政府系の機関が大金を投じて開発競争を繰り広げているイメージがあるが、まるでテクノロジーの匂いを感じさせない高尾の田舎でいま、ふたりの若者が黙々と世界に先駆けて搭乗型可変ロボットを作っている。完成すれば、ロボット業界は震撼するだろう。5年前、スケルトニクスでニコニコ動画の視聴者を騒然とさせたふたりが、今度はエグゾネクスで世界を驚嘆させる。

撮影:風間仁一郎

川内 イオ フリーライター

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かわうち いお / Io Kawauchi

1979年生まれ、千葉県出身。広告代理店勤務を経て2003年よりフリーライターとして活動開始。2006年夏、バルセロナに移住し、スペインサッカーを中心に各種媒体に寄稿。2010年夏に帰国後は、編集者としてデジタルサッカー誌編集部、ビジネス誌編集部で勤務。2013年6月より、フリーランスのエディター&ライター&イベントコーディネーターとして活動中。スポーツ、旅、ビジネスの分野で輝く才能やアイデアを追って各地を巡る。

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