(第12回)国力と企業の強さは関係するのか?

(第12回)国力と企業の強さは関係するのか?

格付け会社によるアメリカ国債への格付け引き下げが、世界的な金融混乱を引き起した。

ただし、影響を受けたのは主として株価と原油価格である。その反面で、アメリカ国債が暴落することはなかった。本当にアメリカの国債が危ないのなら、投資資金が国債から逃避し金利が上昇するはずだ。しかし、実際には金利は低下した(10年国債利回りは、7月下旬には3%程度だったが、8月になってからは2%台だ)。

ヨーロッパでも国債が問題を引き起こしている。アメリカでもヨーロッパでも、経済危機に対して政府が大規模に介入したため、国の財政が悪化したのだ。しかし、財政危機の深刻さは国によって大きな差がある。この点でアメリカとギリシャは明らかに異なる。ここ数年の世界経済の動揺は「ソブリン危機」と呼ばれるが、アメリカが国家破綻の事態に陥っているとは到底思えない。

もちろんアメリカ経済に問題が山積みなのは事実である。失業率は高止まりしたままだし、住宅価格も下げ止まらない。しかし、アメリカのすべてが弱くなっているわけではない。前回述べたように、アメリカには強い産業と企業が存在するのだ。

経済危機後、「アメリカ経済の没落」ということが盛んに言われた。しかし、グラフで見るように、現在のアメリカの株価水準は、リーマンショック前(2008年9月)とほぼ同じだ。金融危機以前(07年7月ごろ)と比べても、8割程度にまで回復している。


政治・経済の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • ポストコロナのメガ地経学ーパワー・バランス/世界秩序/文明
  • 最新の週刊東洋経済
  • コロナ後を生き抜く
  • 読んでナットク経済学「キホンのき」
トレンドライブラリーAD
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
コロナ徹底検証<br>日本は第2波に耐えられるか

米国やブラジルでは新型コロナウイルスの感染拡大が続いていますが、日本は感染者も死者も圧倒的に少ない。その理由はいったいどこにあるのでしょうか。政策面、医療面から「第1波」との戦いを検証。「第2波」への適切な備え方を考えます。