この点が日本との違いである。東証株価指数(TOPIX)は700台だが、これはリーマンショック直前の1200台より約4割低い。07年7月ごろの1700台に比べれば、半分以下の水準でしかないのである。
アメリカの「強い産業」の代表がIT分野であり、その代表企業がアップルやグーグルだ。その2社だけでなく、アメリカのIT関連企業には強い企業がいくつも存在する。
こうした状況を見ていると、国の強さと産業や企業の強さが、あまり関係しないようになったと感じる。「国家と企業の乖離現象」が生じているのである。グローバル化した世界において、これはとりわけ奇異な現象ではないのかもしれない。
アップルやグーグルは、為替レートがどうなっても、大きな影響を受けない。仮に金融引き締めが行われても問題ない。実際、これらの企業が政府に経済対策を要請したという話を聞いたことがない。
「農業化」した日本の製造業
この状況は、日本の企業と非常に対照的だ。日本の経営者は、日本経済が悪化するのは政府に成長戦略がないからだと言う。企業業績が低迷するのは円高のためであり、日本の法人税率が高いためであり、TPP(環太平洋経済連携協定)が進展しないためであるという。