「いい人」のはずが「都合のいい人」になっている訳 「よかれと思って」が他人には迷惑になることも

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ところが、人を手伝ったがために自分の仕事が遅れそうになり、残業、残業の毎日。最悪の場合、手伝った仕事も遅れ、自分の仕事まで仕上がらなかったということに……。自分が「都合のいい人」でいることで、逆に人に迷惑をかけることになるのです。

ほんとうの「いい人」なら、自分に余裕がなければ、「ごめんなさい。今、私も手一杯で手伝えません。他の人にあたってください」と、はっきり断ります。

それが人に迷惑をかけない最善の方法だからです。ほんとうの「いい人」とはそういう人です。

「いい人」でいることの弊害

おそれるべきは、「都合のいい人」を演じつづけていると、素の自分がわからなくなることです。

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自分がこうしたい、ああしようと思っているのに、なんでも相手に合わせてしまって意見が言えないことがつづくと、自分が何をしたいのかどうでもよくなります。

「何食べたい」、「なんでもいいよ。合わせるよ」

「どこ行こうか」、「どこでもいいよ。キミの行きたいところにしよう」

それが恋人同士だったら、まさに、「いい人なんだけど、優柔不断で。いい人止まりなのよねぇ」と、残念な結果にならないとも限りません。

「いい人」になるのをすべてやめなさい、ということではありません。素の自分も出しながら、ほんとうの「いい人」と「都合のいい人」のバランスを保っていけば快適に暮らせると思います。

枡野 俊明 「禅の庭」庭園デザイナー、僧侶

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ますの しゅんみょう / Shunmyo Masuno

1953年、神奈川県生まれ。大学卒業後、大本山總持寺で修行。禅の思想と日本の伝統文化に根ざした「禅の庭」の創作活動を行い、国内外から高い評価を得る。芸術選奨文部大臣(当時)新人賞を庭園デザイナーとして初受賞。ドイツ連邦共和国功労勲章功労十字小綬章を受章。2006年、『ニューズウィーク』誌日本版にて「世界が尊敬する日本人100人」に選出。主な作品はカナダ大使館庭園、セルリアンタワー東急ホテル庭園「閑坐庭」、ベルリン日本庭園「融水苑」など多数。曹洞宗徳雄山建功寺住職、多摩美術大学環境デザイン学科教授。著書に『心配事の9割は起こらない』『仕事も人間関係もうまくいく放っておく力』(以上、三笠書房)など。

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