「このことを完全に理解し、見抜いた者は誰もいなかった」と、技術調査会社フーチュラム・グループのダニエル・ニューマンCEOは言う。「彼らはトレンドを見て、トレンドのために作り、市場を可能にした。エヌビディアは事実上、価格を好きなようにできる」。
エヌビディアの躍進により、フアンはテック界の有名人になった。今月、台湾で開催されたコンピューター・カンファレンスの後、彼はサインを求める参加者に囲まれた。
同社の躍進は、インターネットの通信ネットワークを構築したシスコやジュニパーネットワークスのような、ドットコム時代の巨頭を彷彿とさせる。シスコの株価は、1990年の新規株式公開から2000年までの間に1000倍以上に上昇し、一時は世界で最も価値のある企業となった。
投資家は現在の利益よりも可能性に賭けている
エヌビディアの価値増大のスピードは驚異的だ。アップルは2018年8月に1兆ドルを超え、昨年6月には初の3兆ドル企業となった。マイクロソフトもまた、1兆ドルから3兆ドルまで上昇するのに5年近くかかった。
エヌビディアの投資家たちは、現在の利益よりもその可能性に賭けている。マイクロソフトとアップルはそれぞれ、2024年1〜3月期に210億ドル以上の純利益を計上した。対するエヌビディアの2024年2〜4月期の純利益は約148億ドルとなり、前年同期比600%増を達成した。
「あまりに急速に数字が大きくなったため、人々は『これは持続可能なのか」と心配している』と、バーンスタイン・リサーチのアナリスト、ステイシー・ラスゴンは語る。「AIのリターンがないことがわかれば、すべてが崩れ去る」。
S&P500指数が1926年に創設されて以来、時価評価額でS&P500指数をリードしてきたのはわずか12社だーー。S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスによれば、AT&T、アップル、シスコ、デュポン、エクソンモービル、ゼネラル・エレクトリック、ゼネラル・モーターズ(GM)、IBM、マイクロソフト、フィリップ・モリス、ウォルマート、そして今回のエヌビディアである。