エミン・ユルマズ「人工的な半導体バブルは危うい」 株価暴落前からAIブームに警鐘を鳴らしてきた
ただいま絶好調の米エヌビディアだが、はたして死角はないのか。
エヌビディアは目下業績が好調で、時価総額も3兆ドル超と米マイクロソフトを追い抜いて、一時世界トップになった。しかし本当に、主力のGPU(画像処理装置)に対する需要がオーガニック(自律的)なものなのか、よく考えなければならない。実需ではなく、自分で自分の需要をつくり出してはいないか、ということである。
エヌビディア製GPUが買われ続けるという前提
例えば、米コアウィーブというエヌビディアの取引先の1社は、エヌビディアから出資してもらった資金などによって、エヌビディア製のGPUを買っている。同社はAIクラウドコンピューティングのスタートアップであり、エヌビディア製GPUを使ってデータセンターの運営を行っている企業だ。
またコアウィーブは2024年、ブラックストーンやマグネター・キャピタル、カーライルなどの大手投資ファンドから75億ドルの融資を受け、エヌビディアのGPUの購入などに充ててもいる。
つまりエヌビディアにとっては、コアウィーブが多額の資金調達を経て、顧客として自社のGPUを多く買ってくれるほど、売り上げが拡大するという構図になる。コアウィーブは米国内で14カ所のデータセンターを運営しているが、これを2024年中には28カ所まで倍増する予定である。こうしたデータセンター事業によってマネタイズができなければ、多くのボリュームを期待しているエヌビディアのシナリオは崩れるのだ。
ほかにも課題はある。