エミン・ユルマズ「人工的な半導体バブルは危うい」 株価暴落前からAIブームに警鐘を鳴らしてきた

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米司法省は6月、エヌビディアに対し反トラスト法(独占禁止法)違反の疑いで調査の準備を始めたと、ニューヨーク・タイムズなど大手メディアが報じた。

周知のように、かつてエヌビディアは同業の英アーム・ホールディングスを買収しようとしたものの、米連邦取引委員会(FTC)に差し止められて、結果的に買えなかったという過去がある。AI半導体でシェア約8割を握る王者について、米政府は懸念を感じているようだ。

本業においても、AI半導体を持っているのは今、エヌビディアほぼ1社しかいないが、今後はどうか。

1個1000ドルのコストでも3万ドル以上で売れた

現状、1個1000ドルのコストのチップを3万2000ドルで売っているのだが、顧客がいつまでもその高い値段で買うだろうか。米GAFAMは自社で半導体の内製化を進めているし、競合する米インテルやアームのほかに、中国企業も開発しようとしている。エヌビディア1強は10年間も20年間も続かない。

思えばエヌビディアは、かつての米シスコシステムズに似ている。

ネットワーク機器大手のシスコも、2000年のドットコムバブルでマイクロソフトの時価総額を抜いたが、同年にバブルがはじけて株価は10分の1に暴落してしまった。同様にAIも、機器や半導体などのハードがコモディティー(日用品)化したなら、栄えるのはソフト企業だろう。

生成AIはバブルで先に株価が上がっており、実態が本当に後で追いつくかどうかはわからない。AIがもたらす収益の危うさについて、米ゴールドマン・サックスや英フィナンシャル・タイムズも、リポートや紙面において警鐘を鳴らした。

米ゴールドマン・サックスや英フィナンシャル・タイムズは、生成AIの成長などに対する懸念をそれぞれ指摘した

遅かれ早かれ、人工的な需要は崩落する。いつかAI半導体バブルも終焉を迎えるのではないだろうか。

エミン・ユルマズ エコノミスト、為替ストラテジスト
Emin Yurumazu

トルコ・イスタンブール出身。16歳で国際生物学オリンピックの世界チャンピオンに。1997年に日本に留学。一年後に東京大学理科一類に合格、2004年に東京大学工学部を卒業、2006年に同大学新領域創成科学研究科修士課程を修了後、野村証券に入社。投資銀行部門、機関投資家営業部門に携わった後、2016年に複眼経済塾の取締役・塾頭に就任。著書に『新キャッシュレス時代 日本経済が再び世界をリードする 世界はグロースからクオリティへ 』(コスミック出版)、『コロナ後の世界経済 米中新冷戦と日本経済の復活!』(集英社)など

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