MUFGで違法な情報共有、融資を条件に強引営業も 不適切な銀証連携で銀行と証券2社に処分勧告

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こうした不適切な情報共有は、三菱UFJ銀行と三菱UFJモルガン・スタンレー証券との間で10件。三菱UFJモルガン・スタンレー証券とモルガン・スタンレーMUFG証券との間で3件あった。

ずさんな情報管理が広がっていた実態もわかった。三菱UFJ銀行の一部の部署では、本来知る必要のない行員でも法人関係情報にアクセスすることができた。証券との情報共有が明るみに出ないようメールを避けて電話でやり取りをするなど、悪質な行為も確認された。

個人的に情報を利用したケースもあった。ある行員は職務で知った情報を用いて株取引をしており、認定できた2018年7月から2023年11月までの間の取引が約5000回、20億円に及んだ。監視委は金商法で禁止する信用失墜行為に当たるとした。

証券との取引を執拗に要求

融資などの取引に乗じて、株式や債券の発行手続きに証券を関与させようとする強引な営業実態も明らかになった。

MUFGの亀澤宏規社長
MUFGは再発防止策を講じることを表明(写真はMUFGの亀澤宏規社長、編集部撮影)

社債発行の引き受けをめぐり三菱UFJモルガン・スタンレー証券の提案が負けていることを知った銀行の担当者は、「引き受けシェアがまったくないと厳しい。MUFGとしてお願いしたい」とシェアの引き上げを再三要請。要請が断られると、銀行融資の条件を優遇するといった腹案を提示し、結果的に証券の引き受けシェアが上昇した。

ほかの顧客企業に対しても、公募増資に際して系列証券の引き受けシェア拡大を融資の条件にするなど、不適切な抱き合わせ販売が複数あった。

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