爆増する「ロピア」にも負けないスーパーの正体 従来スーパーが切り捨てた生鮮ノウハウを強化

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

ちなみにタチヤの愛知県の店は店舗あたり(売場面積660㎡ほど)18億円の売り上げがあり、愛知県のバローの店(広さはタチヤの3倍弱)とほぼ同じ水準である。

ロピアにも引けを取らない(写真:編集部)

要はバローの店舗の3倍販売力があるということであり、ロピアと比較しても決して引けを取らない。バローはこのノウハウを求めてタチヤをグループに招き入れ、バロー化することなく、逆にその手法をバロー店舗に実装していった。ちなみにスーパー部門主力会社バローの今の社長はこのタチヤ出身である。

バローデスティネーション・ストアは、このタチヤのノウハウでできた生鮮売り場とバローのチェーンインフラを活用して調達したコスパの高い工業製品群(日配、グロサリーなど)が合体しており、鮮度と安さの両立により地域の同業との差別化を実現した。

わかりやすいのが、鮮魚売り場で丸魚を大量に並べて、昔の魚屋さながらの接客販売を行い、セールストークに引き込まれた来店客が次々に調理加工を頼んでいく。そこに、店内DJであおりを掛けると、さらに人が群がる。生鮮目当てで来店した客は、せっかく来たので生鮮以外の商品もひと揃え買って帰るため、従来店よりかなり売り上げが増えるようだ。

生鮮部門にかかる労力とコストは増えるのだが、それ以上に売り上げ貢献が大きいため、結果、収益が増える、といった仕組みである。

名古屋に鳴り物入りで乗り込んだロピアとの激突

この戦略転換によって、バローは本格的な再成長モードに入ったことはデータにも表れ始めている。バローの全社ベースの設備投資は、2016年頃からデスティネーション・ストアへの転換のために、既存店改装投資が増加しており、2021年3月期に新店投資を上回った後もほぼ同程度で推移している。バローの並々ならぬデスティネーション・ストア転換への意欲の現れであろう。

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事