「ネットでだらだら」は必要な時間という新視点 「サボっている」と糾弾するのはナンセンス

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だが、この手の計算は根拠のない仮定に基づいているため額面通りに受け取るべきではない。サイバー・ローフィングの時間がまるまる生産的に使われた場合を仮定しており、働く人たちが怠惰になることは想定していない。果たしてそれは現実的なのか、マーヴィンは疑念を持った。

マーヴィンが先行研究にあたったところ、サイバー・ローフィングのポジティブな効果を示す研究が見つかった。

「ネットでだらだら」は生産性向上に有用

2017年にメディア研究者のシャファート・フセインとトラプティマイ・パリダがエチオピアの行政補佐官を対象に行った研究では、短時間のサイバー・ローフィングは、退屈な事務仕事を片付けるのに役立っていた。

長時間にわたる文書作成、ファイル整理、複製資料の作成、その他の雑用には飽きが来るが、サイバー・ローフィングによって精神的にリフレッシュでき、仕事を再開する気力が回復するため、生産性が保たれていたのだ。うまくサイバー・ローフィングを取り入れることで、従業員の生産性が上がったとする研究は他にもある。

加えて、サイバー・ローフィングによってチームがうまく機能するようになり、業務上の課題にユニークな解決法を考案できるようになると示す研究も見つかった。だらだら過ごすことで、クリエイティビティや洞察力が改善するのだ。

さらにマーヴィンは、一定量のサイバー・ローフィングは不可避だという根拠も見つけた。トイレやランチ休憩と同様に、働く人には脳を休める時間が必要なのだ。

何時間も仕事に集中していると、自制心は徐々に低下し、サイバー・ローフィングへの衝動は強まる。こうして自制心が負けると、何か気晴らしをしようとする。

経営者や管理職は、従業員のこうした行為を防止すべく、パソコン使用履歴をモニタリングしたり、FacebookやAmazonが表示されないソフトウェアを導入したりする。単純に、サボっている社員を見つけて叱責することもあろう。

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