救急車「不適正利用」解決に"利用料"徴収はありか 「入院しない軽症者の搬送7700円」始めた地域も

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2009年に512万件だった救急出動件数は、翌年に6.7%増加し546万件に。このときに出動件数が増えた全国の消防本部748に対して、その要因として考えられる理由を聞いた。

調査結果(複数回答)によると、「高齢の傷病者の増加」を理由に挙げた消防本部が605(80.9%)で、「熱中症傷病者の増加」が406(54.3%)、「緊急性が低いと思われる傷病者の増加」が287(38.4%)、「不適正利用者の増加」127(17.0%)と続いた。

回答の中で2割弱あった「不適正利用」にはどのような事例があるのか、東京消防庁に聞いた。

事例1:現場に到着するとパジャマなどの着替えが入った大きなバッグを両手に持って待っている人がいた。「入院する病院までお願いします」と、タクシー代わりに使おうとしていた。
事例2:要請を受け現場に到着したものの、誰もいない。要請した人に連絡しても電話に出ない。警察も出動する事態に。結局、傷病者は見つからず、救急車は消防署に戻った。

このほかにも、酔っぱらった人による救急要請のほか、病院の外来で長時間待つのが嫌だという身勝手な要請、寂しいから話し相手になってほしいといった連絡もある。

不適正利用とはいえないが、スマートフォンやアプリの「緊急SOS」機能の誤作動もある。

発信された緯度経度で位置を確認すると、河川にかかる橋の桁下あたりと推測され、川で溺れた可能性があるとして現場に向かったものの、誰もいない。原因を調べると、川の下に落ちたスマホが何かの拍子で誤作動し、緊急SOSにかけてしまったのだった。

現場到着・病院収容に時間がかかる

救急出動急増で問題になるのが、要請から救急車が現場に着くまでにかかる「現場到着所要時間」と、病院で医師に引き継ぐまでに要した「病院収容所要時間」が長くなっていることだ。

救急車は傷病者を乗せても、受け入れ先の病院が決まらないと動かない。

救急出動件数が増えれば、現場から遠い救急車が出動するため、現場到着所要時間は必然的に長くなる。これに伴い、病院収容所要時間も長くなっている。2022年の現場到着所要時間の全国平均は約10.3分(前年約9.4分)で、病院収容所要時間は約47.2分(同約42.8分)だ。

前出の有賀氏は、「腰痛を訴える高齢者に、肺や気管支に慢性炎症が起こっているCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の持病があるとか、脳卒中で5回目だとか。そういう高齢者の受け入れ先の病院を決めるのが困難な状況もある」と、高齢者の救急搬送の難しさを指摘する。

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