「心の病もたらす」現代人を蝕む4つのストレス 「ネガティブな想像力」をかきたててしまう

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人類が進化の過程で獲得した、この想像力が、実は、心の病をつくる大きな要因にもなりました。というのは、生存競争に勝ち残るための想像力を、敵である他の動物だけでなく、協力して戦ってきた仲間にも働かせるようになったからです。

想像がポジティブなものなら、愛情が深まり、連帯感が強くなり、信頼感が増します。逆にネガティブなものなら、猜疑心が生まれたり、不信感が芽生えたりします。ちょっとした相手に対する怒りが、恨みや憎しみに変わることもあります。

ポジティブな想像力から生まれたのが、共同体を維持するために考えられた、倫理や道徳です。共同体をもっと良くしたい、強くしたいという想いが、ポジティブな想像力を働かせたのです。生存競争に勝ち残るためにつくられた小さな集団(共同体)は、みんなで守る倫理や道徳があることで、より強く、大きくなっていきます。

小さなグループから大きなグループへ、そして国へと発展していきます。「信じる」というポジティブな心(信仰)を拠り所とする共同体である宗教も、そのひとつと考えられます。

知らないことに対して「不安や恐怖」を感じやすい

ネガティブな想像力から生まれてしまったのが、共同体同士の争いです。他の共同体が、自分たちの利益を侵害しようとしている、という想像は争いの火種になりやすいものです。ウクライナやイスラエルで続く戦争でわかるように、いまもなお、争いは世界のさまざまなところでくり返されています。

想像力が心の病をつくることになったのは、想像力を働かせることで、ポジティブな成分も、ネガティブな成分もより強くなったからです。要するに、平常心、不安心ともに肥大化させることになったのです。

心にとって平常心の肥大化はうれしいことですが、不安心の肥大化はネガティブ思考を深刻にします。不安心が大きくなれば、それだけ自己の中心が不安心にあることが多くなるからです。

そもそも想像力は、人を不安にさせるものです。なぜなら、想像力を働かせて未来のことや相手のことを考えると、わからないことだらけだと気づくからです。人間は、知らないことに対して、不安や恐怖を感じやすいところがあります。

(出所:『心の病になった人とその家族が最初に読む本』より)

※外部配信先では図表を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください

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