「心の病もたらす」現代人を蝕む4つのストレス 「ネガティブな想像力」をかきたててしまう

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みなさんにも、知ることで不安が消えた、怖くなくなったという経験があると思います。私たちは、人に対しても、社会に対しても、それだけ想像力を働かせて解釈するところがあるのです。

他の動物に生存を脅かされることがなくなったいまの時代、不安心の多くは、周囲の人間の言動から生まれています。自分を嫌っているのではないか、自分に対してマイナスな行動をとるのではないか、という妄想を抱き、そのことで自分の存在を脅かされるという恐怖を感じるからです。

「自分は生きる価値がない」

「自分には居場所がない」

「自分は必要とされていない」……。

そうした不安心を大きくするのもまた、想像力です。そして、私たちのまわりには、存在不安につながる要素が生活のあらゆる場面にあります。それを総称して、私たちは「ストレス」と呼んでいます。

自分の存在を脅かす「4つのストレス源」

ストレスの元となる「ストレス源」は、「集団社会から受けるストレス」「家族から受けるストレス」「自分の心の状態から受けるストレス」「自分の体の状態から受けるストレス」という4つに分けられます。

集団社会から受けるストレスとは、会社や学校、地域社会などといった共同体の中で活動することで受けるストレスです。

(出所:『心の病になった人とその家族が最初に読む本』より)

現代社会では共同体が多層化しています。インターネット上の共同体も含めると、小さなコミュニティやグループは無数にあるといっていいでしょう。家族以外の人と接する場所が会社や学校に限定される人は、ほとんどいないと思います。

仕事をしているだけでも、勉強をしているだけでも、何かしらのストレスを受けるわけですから、活動する場所が増えれば、それだけストレスを受けるリスクは高くなります。

昔は、家族は、集団社会から受けたストレスを癒す小さな共同体でした。それが、どんどん大きくなっていく共同体での家族の役割だったはずです。しかし、核家族化が進み、構成人数が少なくなることで守る力が弱くなってきています。

それどころか、外でのストレスを消化しきれないまま家に戻ることで家族がストレスの発散場所となり、それが他の家族にとってのストレスになることもあります。

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