"未踏の父"竹内氏「優れたエンジニア」に必要な事 登大遊・落合陽一を輩出「未踏IT」統括PMの視点
例えば、今はビジネス的に大きく成功しているPreferred Networks。あそこも起業してしばらくは、半分は大学のような会社でした。成功を収めるまでには創業から5、6年は経っていると思います。
修了生のその後を追うために、創業者の西川(徹)くんらにインタビューをしに行ったことがあるんです。しばらくしたら「すみません、これからゼミがあるので」と言って忙しそうにしていてね。それを聞いて「これだ!」と思いましたよ。そうやって大学の研究室みたいにして内部にパワーを溜めていったからこそ、あそこまでいけたんでしょう。
デキる奴をデキる奴として扱える社会に
━━未踏の修了生には組織に属して働いている方もいると思います。そこで伺いたいのはそれを受け入れる側の心得です。仮にポテンシャルのある人が会社に来てくれたとしても、その力が会社の力になる上では、迎え入れる側にも必要なことがあるように思うので。
それは未踏のPMにも通じる話ですが、「できるな」と思った子に対しては「出る杭を伸ばせ」というのが我々のスタンスです。未踏の子たちが修了後、入った会社で活躍できた例を見てみると、大体そういう上司に恵まれている。ひとことで言うと、パトロン的な上司が自由にさせてくれているんです。
逆に、一番たちが悪いのはできる上司です。できる上司は、できる若い子が入ってくると衝突しやすい。そういう上司と喧嘩して辞めたという話をよく聞くんです。彼らは辞めたとしても潰しが効くから、そういう会社からはすぐに出ていってしまうんですね。
だから「自由にさせておいた方がトータルでは会社にとって得だ」という判断ができる、本当の意味で「デキる」上司が必要です。もちろん、特別扱いをしていることは周りにも伝わるでしょう。日本は嫉妬の社会だから、よく思わない人も出てくるかもしれないね。でも、やはり「デキる奴」を「デキる奴」として扱えないようだと、社会としてはなかなか辛いものがありますよ。
━━未踏でのびのびと才能を伸ばしても、社会の側がそれを受け入れられるように成熟していなかったら、せっかくの才能を活かせないことになりますね。
そうです。でも、昔はひどかったけれど、最近は割と良くなってきていると思いますね。なぜって「未踏を修了した優秀な子を取りたい」と言ってくれる会社が増えているから。
彼らは面白いと思えばなんでもやってくれるし、面白くないと思うことはやろうとしない。そういう子を欲しいと言ってくれる会社は、彼らを潰さない会社ですよ。そういう会社が昔と比べて増えてきた。日本の社会も少しずつ変わってきていると思いますよ。
取材・文/鈴木陸夫 撮影/桑原美樹 編集/玉城智子(編集部)
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