意外に解ける「東大入試」が思考力の訓練に使える 「日常生活の1コマ」をテーマにした問題が少なくない

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実は、難しい計算はまったく必要なく、表を使って考えると、とてもわかりやすくなります。今回の場合、以下のようになります。

大型タクシー2台と小型タクシー3台の走行距離と運賃

※外部配信先では表を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください

大型のタクシーと小型のタクシーで、料金が変わる距離のタイミングは異なるため、どちらも反映させています。料金を比較して小型のタクシー3台のほうが安くなるところは、1320~1480mと2280~2440mです。

大型2台、小型3台のどちらの場合でも、960mごとに120円ずつ料金が上がっていくため、2440m以上の移動距離となった場合も同じような料金の推移になることがわかります。

よって、この問題の答えは、

「1km以上の距離で、距離(m)を960で割った余りが360以上520未満の間になる区間」

というかなり限られた条件になります。この条件下では、大型のタクシーを使うほうが得になる区間が大きいのです。数学の能力を鍛えることで、こうした日常の判断がより正確にできるようになるメリットがあります。

水道料金も東大入試で出題されている

②水道料金のしくみを紐解くためには

多くの家庭が月ごとで払っている水道料金。毎月少しずつ料金が違うのを見て、「どういう仕組みで料金が算出されているんだろう?」と気になったことがある人もいるでしょう。実はこの水道料金も、東京大学では入試問題として出題されています。

問題:ある家で今年の1月と2月の水道の使用水量と水道料金とは下の表の通りであった。
1月:使用水量23立方メートル、水道料金332円
2月:使用水量19立方メートル、水道料金276円

その町の家庭用水道料金は「水道料金=基本料金+超過料金+メーター使用料」という式で計算される。基本料金とは一定の使用水量A立方メートル(Aは整数)までに対して払う料金120円のことであり、超過料金とはA立方メートルをこえた分に対し支払う料金のことで、1立方メートルごとにB円と定められている。またメーター使用料C円は使用水量に関係せず、10円の整数倍で50円以下である。このとき、上の表からA、B、Cを求めよ。(東京大学1960年 二次試験 数学Ⅰ代数、編集部で一部加筆)

この問題のポイントは、水道料金には「基本料金」という概念があることです。もしこれがなければ、使用した水の量に対して単純に水道料金をかけ算すればいいのですが、この基本料金があるため計算が複雑になっています。

次ページ式は一見複雑そうだが…
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