オムロン、自動化機器がタイで好調な理由 アジア展開の中心地で起きていること
身近なところでは、体温計などで知られるオムロン。だが利益の6割以上はFA機器(工場を自動化する制御装置)が稼ぎ出し、大手電気機器メーカーの一角を占める。そのオムロンがアジア展開の中心地に据えるのは、いち早く市場の取り込みに成功したタイだ。
6月26日、タイのバンコクでは同国最大級の製造業見本市が開催されていた。日系では三菱電機やパナソニック、キーエンスなどの大企業もこぞって出展。なかでもオムロンは全出展企業の中で最も大規模なブースを構えた。
血圧計などの医療機器から電子部品まで並ぶなか、とりわけ人が集中していたのはFA事業のコーナーだ。説明員が対応に追いつけないほどに数多くの人が熱心に説明を求め、タイ語と日本語がひっきりなしに飛び交う。
国内では4割程度のシェアを握るオムロンのFA機器だが、海外では独シーメンスや米ロックウェル・オートメーションといった強力な競合がおり、日本ほどの存在感を示せていない。だが、タイは特別。同国におけるオムロンのシェアは4割を超え、日本以上の占有率を誇る。
中国に工場を集中させないよう、周辺国にも工場を置く「チャイナプラスワン」の本拠地として発展したタイには、自動車を中心に日系メーカーの製造拠点が多い。オムロンのアジアパシフィック地域を統括する前田武人マネージングディレクターは「日系企業へのサポート体制が、他社に先んじていたというのが大きい。日本では他社製品を使っている企業も、タイではオムロンを使ってくれているところが多い」と説明する。
現地企業の取り込みにも利点
タイへの早期進出は日系企業だけでなく、現地企業の取り込みにも功を奏した。FA機器はメーカーによってクセがあり、他社製品に乗り換えようとするとさまざまなコストがかかる。早くからタイ企業に接触し、強い地盤を形成できたことで、経済発展を遂げている現在も高シェアを維持することができた。現在、タイでの売上の半分は現地企業が占めている。
オムロンは中国、日本を除くアジアでの売上高を、2020年までに現在の倍となる1700億円へ増やすことを目指している。その中心地として、今後もタイに一層力を入れていく予定だ。
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