どこまでドッキリ?「全力!脱力タイムズ」の裏側 「渡部復帰」「アンタッチャブル復活劇」はこうして実現した

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テレビディレクターの名城ラリータ氏

「最初は、ニッチな話題や動画や衝撃映像をスタジオで見て、脱線していく、という企画だったんです。僕は『SMAP×SMAP』のときにコントを撮っていたので、そこにコントの要素を入れたら面白そうだなと」(ラリータ氏)

苦戦していた開始当時を救った”ヒット企画”

そんな構想をもっていたラリータ氏のもとに、2人の強力なブレーンが加わる。人気放送作家の寺田智和氏と、カツオ氏だ。ラリータ氏は2人に相談しながら、番組の骨格を考えていったが、その中で現在に続く番組のカギを握る存在、番組MCがふと頭に思い浮かぶ。

「嗜好性なども含めて有田(哲平)さんが番組キャスターにぴったりだと考えました。一緒にお仕事をしたことがなかったので、一度会って話しあうことになり、有田さんに企画をプレゼンし、やっていただくことになったときは嬉しかったですね」(ラリータ氏)   

こうして2014年の年末に特番が組まれ、翌2015年4月からは現在まで続く毎週金曜日23時枠のレギュラー番組に昇格。だがここは人気番組がひしめく時間帯。番組開始当初はなかなか視聴率が伸びず、当時の世帯視聴率で2~4%などと苦戦をしいられた。

「『ヤバい。これは番組が終わる』と思いました」(ラリータ氏)

そんなとき、『脱力』を救うひとつのヒット企画が誕生する。タレントの滝沢カレン氏がナレーターとして、美食や絶景を紹介する『THE 美食遺産』『THE 絶景遺産』のコーナーである。

料理人がさばいた鰹を見て「まるで魚らしさはないです」とコメントしてみたり、調理をする店員さんに対して「店員さんに見えない」と言い放ったり。ピザを紹介する回では、材料の小麦粉やイースト菌を「みなさんには紹介できないような粉です」、塩を説明した回では「いい意味で白い粉」。ココナッツミルクの説明では「石こうがらみの液体」と、あまりにも独特なワードチョイスを連発。漢字の読み間違いや、カタカナの特殊なアクセントなどに、現場はもちろん視聴者たちに爆笑を巻き起こした。

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