創業500年「虎屋」が令和にたどり着いた"らしさ" 「TORAYA GINZA」では新たな挑戦も

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控えめな照明の中、入り口付近に菓子の販売スペースがあり、その先にはゆったりした客席がある。一隅に4人がけの席が設えてあって、奥には中央通りに面したテラス席が――銀座の空をのぞむことができる贅沢な空間だ。

(写真:虎屋提供)

ここはもともと「とらや銀座店」があったところ。1947年の開業というから、80年近い歴史ある店舗を、今回、全面的に建て直したという。

きっかけは、建築物を新たな耐震基準に対応させることにあり、以前は不定形だった土地を整備するところから取り組んだ。周囲の2つのビルを購入する一方、敷地内にあり使われていなかった拠出路地を廃する方向で進めたのだが、それを実施するために、路地に面したビルのオーナー全員に話して納得してもらったという。

新しいTORAYA Ginza Buildingは、1階から3階までが「バレンシアガ」、4階が「TORAYA GINZA」になっている。

上階に店を構えた理由はどこにあるのか――「少し隠れ家的な要素も含め、わざわざ来ていただけるお店にという思いがあったのです」と黒川さん。目的を持ったお客に向け、じっくり育てる店という考え方はわかるのだが、銀座の中央通りに面し、確かな存在感を放っていた「とらや」の暖簾がなくなってしまったのは、少し寂しい。街と店とブランドは一体となって人の記憶に残るもの。そこをどう築いていくかは、これからの課題の1つと言える。

シックな色合いでまとめられている店内(写真:虎屋提供)

パリ店の名物を国内で初めて販売

どんなお菓子が提供されるのか。1つは焼き菓子で「焼きたて 夜半の月」と名づけられたもの。注文が入ると、職人が銅板で焼き上げ、虎屋の小倉あんを挟んで供してくれる。パリ店で1994年から売っていたが、国内で通年販売するのは初めてだ。

「焼きたて 夜半の月」(写真:虎屋提供)
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