「仕事とプライベートどっちが大事?」時代の終焉 これからは「ワークライフハーモニー」が大切

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つまるところ、仕事中であろうが遊びの最中であろうが、あらゆる時間をどれだけ楽しめるかで、人生の幸せの総量が決まるように思います。したがって、仕事とプライベートを競合させるワークライフバランスの発想はしっくりこないのです。

仕事とプライベートの適切な関係性を紐解くとするなら、私がより共感するのは「ワークライフハーモニー」という考え方です。この概念は、Amazon社のCEO(当時)、ジェフリー・プレストン・ベゾス氏が2016年に提示したのを発端に広まったとされています。

プライベートが幸せであれば、仕事に対するエネルギーが湧く。仕事が充実していると、プライベートもより楽しめる。仕事とプライベートは、「競合」ではなく、「融合」(harmony)させ、あらゆる時間を豊かに過ごすことを目指すべきであるーー。

私もまた同じように考え、実践してきました。自身が提唱する自己管理術も結局のところ、人生という限られた時間の中で、仕事とプライベートの隔てなく本当に大切なことにきちんと時間を使うための、一つのアイデアに他なりません。

ポストコロナ時代に入り、リモートワークの浸透など人々の働き方が変わっていく中で、従来のように仕事とプライベートを明確に区切るのが難しくなりつつあります。だからこそ、ワークライフハーモニーの実現がより重要になるはずです。

自己肯定感を高めれば、あらゆる時間が充実する

では、どのようにワークライフハーモニーを実現すればよいのか。そのためのキーワードが、自己管理です。仕事でもプライベートでも同じように自己管理を続けていけば、自然にその垣根は消え、すべての時間が充実するようになります。

実際に私も、とにかくあらゆる物事をタスク化して管理し、分け隔てせずひたすら実行するようになってから、人生が一気に拓けた感覚があります。私と自己管理術との出合いや実践方法は、拙著『実行の鬼』に詳しく記しておりますが、だらしなかった自分が自己管理を通じてまさに生まれ変わりました。

仕事では、NECという会社でトップの営業成績を収めることができました。入社3年で、約3万人いる営業部員の頂に立ったのは史上最速と言われました。それと並行してプライベートも大切にし、家事もしっかりこなしました。

こうした経験を通じなによりも大きな財産となったと感じるのが、自分自身を肯定し、あるがままの自分でいられるようになったことです。

今日やるべきタスクを定め、ただ愚直にやり切るーー。そんな生活を続けると、自己肯定感が高まっていきます。なぜなら、一つひとつのタスクをやり通すのはまぎれもない成功体験であり、こなすほど自分に自信が生まれるものです。

また、タスクを達成するだけ成果も積み上がり、周囲からも評価されます。会社では同僚から一目置かれ、家庭ではいつも家族から感謝される。そんな状況になれば、さらに自分のことが誇れるようになります。

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