戦時に毒ガスを研究「ウサギの島」まさかの実態 戦時中の痕跡があちこちに残っている

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この建物はものすごくかっこいい。頑丈なコンクリートで作られているが、老朽化で一部は剝げ落ち、苔やカビで黒く汚れている。ツタが建物の表面をまるで血管のように走っている。

毒ガス貯蔵庫だった場所
(筆者撮影)

ゲームの「ワンダと巨像」とか「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」とかが好きな人にはたまらない雰囲気だ。施設を眺めていると思わず、ツタに手をかけて、グイグイ登って行きたくなる衝動にかられた。

要塞砲台や兵器の制作に使われた施設

海辺を超えていくと、さらにたくさんの施設が見えてきた。

やはり堅牢な施設なのだが、レンガや石垣で作られている。長浦毒ガス貯蔵庫跡と比べると古い建造物な気がした。

これらの施設は、第2次世界大戦前の、明治時代に作られた施設らしい。艦隊の攻撃にそなえ、沿岸要塞砲台を設置していたのだ。

毒ガス島になってからは、施設を改装し、貯蔵庫として使用していた。

山道を登っていく。普段の不摂生がたたって、かなりしんどい。

島内の地図を見ながら歩いていたのだが、立ち入り禁止になっている場所がとても多かった。展望台や中部砲台跡に進む道も立ち入り禁止でとても残念だった。老朽化による崩落の危険などあるかもしれないが、もうちょっと見られるようにして欲しい。

最後に見えてきたのが発電所跡だ。黒ずんだコンクリでできたかなり大きな施設だ。外から見ると3階建だが、建物内は階層わけされておらずかなり広々した空間になる。当時はディーゼル発電機が8基設置されていたらしい。現在は全部取っ払われてしまっている。

建物の外にはほとんど消えかけているが英語で表記がしてあった。米軍に押収されている時代に書かれたものだろう。

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