
列車の窓から、太陽に照らされた海が見えてくる。
車内にアナウンスが流れる。
「次は行川(なめがわ)アイランド」
着いた! ここは南国パラダイスなのだ。ドアが開き、駅に降り立つ。太陽がまぶしい。
が、次の瞬間、現実を見る。
あれ? ホームに人影がない。
って、誰も降りないのか!
無人駅にひとり、ぽつんと佇(たたず)む。
道路の向こう側に広がるのは、かつての巨大レジャー施設の駐車場だ。広大なスペースにクルマはゼロ。一時は年117万人が訪れた千葉県の勝浦にあるこの動物園施設は、2001年に閉園となり、廃墟と化している。駐車場に錆(さ)びたドラム缶が転がる。
敷地にはロープが張ってあるが、長すぎてロープが弛(たる)んで、地面から10センチメートルぐらいの高さしかない。またがせてもらう。
その先に進むと、海岸線にある施設に抜けるトンネルがある。だが、そこに鉄格子が張られていた。
「立入禁止 無断で立ち入った場合は警察に通報します」
うむ。入るなということか。だけど、ドアにカギがかかってないじゃん。なら、中に管理人さんがいるだろうから、その人と交渉するために入ることにしよう。
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読み頂けます。
登録は簡単3ステップ
東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
おすすめ情報をメルマガでお届け
ログインはこちら