思わず共感抱く「清少納言が怒った」"あるある話" なかなか帰ってくれない客、やる気ない態度…
墨シリーズはもう1つあります。「墨の中に石が交じっていて、きしきしと嫌な音を立てたとき」。学生時代に書道の授業がありましたが、さすがに墨の中に石が交じって嫌な音が出た、という経験がある人はいないでしょう。現代なら、学校の黒板を手で掻いたときに出るキィーと耳に響く、嫌な音という感じでしょうか。
清少納言が憎たらしいものと感じる3つ目は、験者に関する話です。急病人がいて、当病平癒を祈る験者を呼ぼうとしたところ、なかなか見つけることができません。長時間探し回って、やっと見つけてきた!と思ったら、その験者の祈祷にはやる気がないように感じます。「商売繁盛」で疲れ切っているのか、半分眠ったような声で呪文を唱え出したそうです。
確かにこれも「憎たらしい」と感じる事例かもしれませんね。現代ではなかなか験者を呼んで祈祷してもらうことなどありませんから、あえて例えるならば、何かを購入するときに、説明してもらうためにやって来た販売員にやる気がなく、買う気分も失せてしまうほど嫌な気分になってしまった、といったところでしょうか。
いい身分の人が酒の席で醜態を晒す
清少納言が憎たらしいと感じる4つ目は、酒を飲んでわめき散らす人です。酔って、口の中を指でいじったり、髭を生やした人が髭を撫でまわしながら、他人に盃を取らせる様子だそうです。
酒を飲んで大声を出す人はいますが、「口の中を指でいじり、髭を生やした人が髭を撫でまわしながら、他人に盃を取らせる」光景を、私は見たことはありません。
読者の皆さんが、その光景を見たことがないとしても、清少納言が記すような酒の席での醜態は見苦しいものではあります。お酒は綺麗に飲みたいものですよね。
清少納言が見た、酒の席で醜態を晒した人は「れっきとした身分」の人だったとのこと。それがまた、清少納言の嫌悪感を倍増させているようです。
清少納言が書く憎たらしいことの5つ目は、何でも人のことを羨み、自分のことについては泣き言を話し、人の噂話ばかりを好み、ほんの少しのことでも根掘り葉掘り知りたがる人のことです。
そのような人は、相手をしてやらないと恨んだり、悪口を言ったり大変だとも清少納言は書いています。
5つの憎たらしいことを紹介しましたが、清少納言の怒りは、ほかにも、さまざまなものに向けられています。
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