納得の「サプライズ社長人事」映すドコモの現在地 新体制下で「iモード時代の復活」期待する声も

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今回の社長人事によって、成長領域に邁進する姿勢を改めて明確にしたドコモ。一方、グループ内や総務省の関係者が不安視するのは、本業であるはずの個人向け通信だ。

NTTドコモの次期社長に就任する前田義晃氏
6月に新社長に就任する前田氏。仕事に厳しいというが、その手腕に期待する声も聞こえる(記者撮影)

昨年はドコモの通信品質をめぐり、「つながりにくい」といったユーザーの声が相次いだ。コロナ禍で減少した人流の回復を見込みきれなかったことや、競合他社と違って4G向け周波数を5Gに転用する戦略をとらず、5G基地局の整備が遅れたことが原因だった。

競合するKDDIの高橋誠社長は同じ日に開いた決算会見で、「(非通信の)『グロース領域』に強い前田さんが社長になるということは、しっかり注目していかないといけない」と警戒感を示しつつ、「やはり、ベースは通信なので、われわれとしては通信を充実させる。今後の5G展開、衛星との連携が重要だ」と強調。対ドコモを念頭に、通信品質面での差別化を図りたいとの考えをにじませた。

通信品質問題に前田氏も言及

非通信分野の成長は、経営戦略として重要性を増しているとはいえども、国民生活にも直結する根幹の通信事業がおろそかになってしまえば本末転倒だ。国内最大の携帯キャリアであるドコモにとって、通信品質で競合他社に差を広げられることになれば、ブランドイメージを大きく損ないかねない。

前田氏も記者会見の場で、通信品質の問題に自ら言及した。「いま一度当たり前に立ち返り、お客様起点での事業運営を進めたい。通信品質へのご不満やサービスの使い勝手など、1つひとつの声と誠実に向き合い、解決していく。もっと支持、信頼されるドコモグループにしていく」。

強みとする非通信事業の成長だけでなく、本業でのドコモユーザーからの信頼回復を両立できるのか。前田氏には、バランスを意識した難しい舵取りが試されることとなる。

茶山 瞭 東洋経済 記者

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ちゃやま りょう / Ryo Chayama

1990年生まれ、大阪府高槻市出身。京都大学文学部を卒業後、読売新聞東京本社の記者として岐阜支局や東京経済部に在籍。司法や調査報道のほか、民間企業や中央官庁を担当した。2024年1月に東洋経済に入社し、ITベンダー業界を中心に取材。情報通信、メディア、都市といったテーマに関心がある。趣味は、読書、散歩、旅行。学生時代は、理論社会学や哲学・思想を学んでいた。

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