あおぞら銀と大和証券G、「土壇場提携」の真意 提携劇が浮き彫りにするあおぞら銀の経営課題

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あおぞら銀行は以前から大和証券グループとも接触を図っていたが、前述の下方修正を発表した頃から資本提携の交渉が加速する。大和証券グループはあおぞら銀行の主幹事証券を務めるほか、過去にはM&Aファイナンスで合弁会社を設立した縁もあった。大見社長が大和証券グループの荻野明彦社長と10年以上前から面識があることも、後押しとなった。

交渉の過程では「横やり」も入った。赤字決算を受けた株価急落に目をつけた旧村上ファンド系のアクティビストが、2月2日からあおぞら銀行の株式を買い始めたことだ。2月27日時点での保有比率は計8.9%に達し、筆頭株主に躍り出た。

複数の関係者によれば、旧村上ファンド系の念頭には、SBIHD傘下のSBI新生銀行との統合があった。SBIHD会長兼社長の北尾吉孝氏に対して保有株の売却を持ちかける場面もあったという。北尾氏は「興味がないと言えば噓になる。買収先として内外の金融機関を見ているが、あおぞらはワンオブゼム」の構えだった。

現時点では不透明な提携効果

あおぞら銀行の大見社長は「(旧村上ファンド系の動きは)資本提携とはまったく関係がない」と強調するが、背中を押したことは確かだろう。この頃のあおぞら銀行は、同じ銀行ではなく他業種をパートナーとして見据え、銀行と証券の連携が見込める大和証券グループに対して正式に資本提携を申し入れた。結果的に大和が「ホワイトナイト」となった形だ。

赤字転落やアクティビストの襲来を経て、土壇場で結ばれた資本業務提携。あおぞら銀行と大和証券グループは富裕層ビジネスや不動産、M&Aなどでの協業を掲げるものの、詳細はこれから両社で立ち上げる委員会で詰める。提携がもたらす利益も「現場を踏まえた数字は出していない」(大見社長)と話す。

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