「女子野球のパイオニア」が破ったガラスの天井 片岡安祐美「"女性だから"と思っていたのは私」
2021年夏、片岡さんは、解説席でその歴史的瞬間を見つめていた。
野球をプレーできることが当たり前じゃないと分かっているからこそ、甲子園でのプレーを全力で楽しむ彼女たちに、胸がいっぱいになりました。まさか甲子園に、こんなに甲高い声が響く日が来るなんて。
ママだって、子どもにプレー姿を見せたい
甲子園を目指した高校時代から、約20年。片岡さんは社会人野球チームの監督になり、女性としても新しいライフステージに突入した。2017年に結婚、2022年には出産し、現在は1歳の子どもを抱え、監督業をこなしている。
そして2024年1月、念願だった茨城ゴールデンゴールズ女子チームを創設した。
子どもを預けるために集合時間に遅刻したり、迎えに行くために早退したり。みんなの理解があるからこそなんとかやっています。
女子野球をめぐる環境も、少しずつ改善しているという。
大会のときには託児所が準備されるなど、女性がプレーしやすい環境が整いつつある。高校や大学での女子野球部数も右肩上がりに増え、2015年には全国で19チームだった高校女子硬式野球部数も、23年には60チームまで増加した。
一方で課題も残る。中学校では、女子野球の受け皿が十分ではない。小学生は男子に交じってプレーするが、中学生になると体格差や不安定なメンタル面のケアから、男女を分ける必要がある。
高校、大学で女子の硬式野球部も増えてきているが、その間の年代で野球を諦めてしまう女性もまだ多いのが現実だ。
女子野球の発展を担いつつ、片岡さん自身の夢もまだまだ広がっている。
野球選手としては、マスターズ甲子園に出てプレーをするという夢もかなえたいです。