大王製紙vs北越紀州、総会後も対立は深刻 業界再編が迷走、大王社長への賛成率は71%
製紙業界「第三極」の主導権をめぐる、業界4位の大王製紙と5位の北越紀州製紙の対立が、株主総会を経ても収まる気配がない。
大王は6月30日、関東財務局に提出した臨時報告書の中で、同月26日に愛媛県の四国中央市で開かれた株主総会の決議結果を公表した。総会ではもちろん、会社側が提案した議案すべてが賛成多数で可決されたが、注目されたのは、取締役選任議案の中で佐光正義社長に対する「賛成率」の低さだった。
結果は71.2%。2年前、2013年の株主総会における佐光社長選任に対する賛成率75.1%に比べ、約4ポイント低下した。6月に総会が開かれた注目企業との比較では、タカタの高田重久会長兼社長の86.8%、シャープの高橋興三社長の86.6%、LIXILグループの藤森義明社長の80.4%、関西電力の八木誠社長の73.6%よりも低い。委任状争奪戦(プロキシーファイト)が行われるといった特殊なケースを除けば、トップ選任議案の賛成率7割そこそこは異例の低さともいえる。
北越紀州と井川高雄氏が反対票
この背景としては、同社の筆頭株主である北越紀州(持ち株比率21.2%)がネットによる事前投票で佐光社長の選任に反対していたうえ、大王創業家で7位株主の井川高雄氏(同2.6%)も、佐光社長ら現経営陣と対立関係にあることから、反対票を投じたためとみられる。
ただ、北越紀州と創業家を除けば、佐光社長に反対票を投じた株主は、持ち株比率にして合計2%どまり。総会終了直後の記者会見で、自身への賛成率が低かった場合の対応について聞かれた佐光社長は、「過半数に若干プラスアルファ程度にとどまり、北越紀州さんや創業家以外の株主さんからもご支持されていない、ということなら少々考えるが、そんなことではないと思う」と語った。7割強の賛成率は、まずまずの結果だったに違いない。
北越紀州にとって、同社が2割超の株を保有する大王は、持分法適用会社、つまり広い意味でのグループ会社に当たる。にもかかわらず、両社が総会で対立するという事態はなぜ起きたのか。
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