「ブラザー工業のTOB案」にローランドDGが大反論 DG常務「傘下に入ると営業利益が50億円下押し」
株主にとっての利益は最優先事項だ。しかし、従業員、買収先の企業、顧客などを含めたすべてのステークホルダーにとって、成長を続け、企業価値を向上していくことは重要だ。企業価値の向上と株主利益、2つの軸を持ってタイヨウの提案とブラザーの提案をわれわれは真摯に評価している。
――そもそもの質問ですが、なぜMBOをしなければならないのでしょうか。
非上場化して一気に企業価値を上げたいからだ。費用のかかる施策をスピード感を持って行うためにはMBOがふさわしいと考えている。
ローランドDGは海外売り上げ比率が90%を超えるが、欧米が70%ほどを占めている。企業価値を高めるうえでは新興国の開拓が欠かせない。
上場したままでは難しいと判断
新興国は価格競争の激しい市場だが、しっかりと差別化をすればそれなりの価格で製品を販売できると踏んでいる。そのためには子会社を作る、現地の代理店と契約するなどして販売網を整備しなければならない。ほかにも、研究への追加投資や他社協業などいろいろなアイデアがある。
これらの費用は短期的に利益の圧迫要因になる。利益が減れば株価に影響するので株主に損失を与えてしまう。株主利益とのバランスをみながらでは、世の中の流れについていけない。人・モノ・金をだらだらと投入しても効果が薄いので、ぎゅっと凝縮して企業価値向上施策を推進したい。
――MBOも選択肢に入れた企業価値の向上策について検討を始めたのはいつからですか。
ブラザーのTOB提案よりもずっと前から議論していた。しっかりと企業価値を上げていかないと、今回のような状況がやってくることは想定していた。
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