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ブラザー幹部吐露「ローランドDG」買収断念の経緯 ネガティブキャンペーンは一線を越えていた

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顛末を振り返るブラザーの鈴木専務(左)と石黒副社長(右)(撮影:大澤誠)

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経営陣の同意を得ないままTOB(株式公開買い付け)などを行う「同意なき買収」が急増。現場では、かつての“乗っ取り”を彷彿とさせるような、血で血を洗う壮絶な闘いが繰り広げられている。『週刊東洋経済』6月29日号の第1特集は「仁義なき企業買収」だ。

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産業印刷機中堅のローランド ディー.ジー.(DG)をめぐる買収合戦が幕を閉じた。

ローランドDGが投資ファンドのタイヨウ・パシフィック・パートナーズと組み、MBO(経営陣による買収)を実施。その際、ブラザー工業が対抗TOB(株式公開買い付け)を予告していた。

ブラザー工業は、5月16日にあっさり提案を取り下げたが、対抗TOBの予告は、ファンドと組んだMBOに事業会社が横やりを入れる珍しい事例として注目を浴びた。

なぜブラザーは対抗TOBに乗り出したのか。にもかかわらず、勝敗がほぼ価格で決まるTOBで価格競争から降りたのはなぜなのか。決断の背景を、ブラザーの石黒雅副社長、ローランドDGとの共同開発に参加していた鈴木剛専務執行役員に聞いた。

MBO開始は寝耳に水

――なぜ、同意なく対抗TOBに乗り出したのでしょうか。

石黒:結果的にはMBOがトリガーになった。ブラザーは2023年9月にローランドDGへTOB提案をしていた。提案に対するローランドDGからの問い合わせにも真摯に対応していた。

しかしその間ローランドDGは、MBOの準備など(ブラザーによるTOB提案への)対抗だと思わざるをえないような活動をしていた。MBOのパートナー選定の際に行われる「デューデリジェンス」の場にもわれわれは招かれておらず、2024年2月のMBO開始は寝耳に水だった。

4年間の共同開発を通じて、一緒になれば互いの成長領域を伸ばせるという思いは一緒だと思っていた。正直にいえば同意のもと(TOBに)進みたいという思いがあったために、交渉に時間がかかっていた。

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