「誰とも繋がりたくない人」に伝えたい孤独の影響 孤独が蔓延すると社会はどう変わってしまうのか

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傘をさして携帯を見る若者
幸福に関する研究を行うロバート・ウォールディンガー教授は、「誰ともつながらないことを美化する風潮はよくない」と警鐘を鳴らした。写真と本文は直接関係ありません(撮影:今井康一)
孤独について取り上げると、しばしば「1人のほうがラク」「孤独の何が悪い」という反応が出てくる。孤独は悪いわけではない。ただ、85年にもわたって幸福に関する研究をしているハーバード大学の成人発達研究所によると、人の幸福を左右するのは人間とのつながり一択だという。
ならば、今日からできることは何なのか。『グッド・ライフ 幸せになるのに、遅すぎることはない』の著者の1人で、ハーバード成人発達研究所の責任者であるロバート・ウォールディンガー教授に聞いた(インタビュー後編はこちら)。

会社で「つながり」のある人のほうが生産性が高い

――孤独が社会に与える影響について、どのような事例があるのでしょうか。

アメリカの調査会社ギャラップが世界中の労働者を対象に調査を行っていて、少なくとも1500万人の労働者を対象にした調査があります。

あらゆる年齢層、文化、男性、女性、すべてを対象とした調査で、「職場に友人はいるか」つまり、職場に個人的なことを相談できる人がいるか、と聞いたところ、「友人がいる」と答えた人は全体のわずか30%でした。言い換えれば、7割の人は職場に自分の人生について話せる人がいないのです。

しかし、職場に友人がいる30%の労働者は、上司や同僚から評価されると、仕事のクオリティがあがり、職場でよりハッピーになります。仕事場でのケガも減るし、その会社を辞める可能性も低くなります。

――つまり、生産性が上がる、ということでしょうか。

そう言えます。もう1つは、職場に友人がいない人に「仕事にどの程度従事していると感じますか?」と聞くと、12人に1人しか 「仕事に従事している」と回答しませんでした。残りの11人は、「自分の仕事にはあまり関心がない」と答えているのです。

企業のリーダーの多くは職場での社交的な人間関係は生産性を妨げると考えていますが、実はまったく逆なのです。職場に友人がいたり、きちんとした交友関係があると人々はより生産的になるのです。

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