「貯蓄から投資へ」一気に加速している納得の背景 馴染みのスローガンもついに終わりを迎えるか
NISAは、イギリスISAをお手本にして2014年に始まり、10年が経過した今年1月には制度が大幅に更新されました。非課税期間の恒久化や投資上限額の拡充による使い勝手の向上が図られたのは、先述の「売買すれど保有せず」の個人投資家ではなく、中長期で安定的に保有する個人投資家を育成していくために違いありません。
今から10年前のほぼ同時期にインベストメントチェーンの主要3主体である機関投資家、上場企業、個人に向けて、それぞれSSC、CGC、NISAが策定されたことが「貯蓄から投資へ」を間違いなく加速しています。
投資家のマインドが変わったのはなぜか
車輪のもう1つが、個人投資家におけるマインドの変化です。これは、ここ10年間の年齢別の株や投信等、リスク資産保有額に鮮明に表れています(下図参照)。特に世帯主が39歳以下の若年層家計では、2022年には保有するリスク資産額が平均105万円に達しており、10年前の3.5倍にもなります。
喫茶店で隣の席に座った大学生とおぼしき3人が、雑談のように気軽に自らが投資している投信について語り合うのを聞いた時、めずらしい連中だなぁと思ったのですが、このデータを見てと考え直した次第です。
若い世代の投資へのイメージが変わってきたのは、金融教育を受けた人が増加しているからでしょう。金融リテラシーの高い世代が育ちつつあるということです。
加えて、2019年6月に金融庁の金融審議会市場ワーキング・グループの報告書が、いわゆる「老後2000万円問題」として大きく報道されたことで、自分自身による資産形成の重要性が高まっていることを否応なく認識したことも影響しているでしょう。こちらは若い世代のみならず、全世代へ強烈なインパクトを与えたはずです。
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