16年の幕を閉じた「沖縄国際映画祭」が残した課題 映画だけではない、総合エンタメの祭典だった
スタートからわずか数年で、春の沖縄をエンターテインメントで盛り上げる一大イベントに成長。地元の人々に愛されるとともに、経済振興に大きく寄与してきた。
コロナを経た2022年の開催からは、それまで築き上げてきたエンターテインメント発信の場と、地元との信頼関係をベースに、地元沖縄の伝統芸能や文化をメインに据えてフィーチャーする形に変わった。
同時に、観光以外の産業がなかなか根付かず、貧困の島とも呼ばれる沖縄が抱える社会問題をソーシャルビジネスで解決していくことを目指す「島ぜんぶでうむさんラブ」プロジェクト(島ラブ)を2021年よりスタートし、事業プランコンテストを実施してきた。
今年で最後になった映画祭のメインイベントの1つは、3回目となる「島ラブ祭 ソーシャルビジネスコンテスト」だ。今年1月から始まったソーシャルビジネスのアイデアを形にする島ラブアカデミーに参加した7組が事業プランを発表した。
ソーシャルビジネスコンテストは継続
7組のプレゼンでは、子どもの職業体験の場作り、ビーチなどのゴミ拾いのネットワーク、笑顔と元気の源になる美容の介護への取り込みなど、すでにアクションを起こしているアイデアも含めて、事業化へのポテンシャルが高いであろうプロジェクトが次々に発表された。
観客投票による審査の結果、今年の「島ぜんぶでうむさんラブ賞」(最優秀賞)は、おからを活用して島豆腐文化を守る「Okaraokara」が受賞。
豆腐の製造過程で出るおからを廃棄物から資源へと変えることで、コストと環境負荷を減らすのと同時に、代替肉のおからミートによる健康促進など、おからの価値を高める商品開発を進めるプロジェクトだ。
島ラブを運営する、うむさんラボ社の代表取締役・比屋根隆氏は「3年やってきた積み上げから認知が広がり、応募者数は増えています。今回から企業賞(沖縄セルラー電話賞、大和ハウス工業賞)を取り入れましたが、一緒にコラボしたいという企業も多くなりました」とこれまでの取り組みの手応えを語る。
スタートからの3年間、沖縄国際映画祭のなかの一部として開催されてきたが、映画祭終了後も島ラブプロジェクトはこれまで同様の形態での実施に向けて調整中であり、来年以降も継続していく。
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