16年の幕を閉じた「沖縄国際映画祭」が残した課題 映画だけではない、総合エンタメの祭典だった

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クロージングセレモニーに出席した実行委員会・副会長の知念覚那覇市長は「イベントと観客がひとつになり、笑顔の輪が広がったことに大きな喜びを感じています。今回で終了しますが、沖縄から新たなコンテンツを発信するという意味では大変多くの意義がありました。これまで培ってきた経験は、別の形で次の新たなステージへつながっていくものと考えています」と締めた。

一方、地元選出の宮崎政久衆議院議員は、観客の1人として「沖縄に定着して大きくなったこの映画祭には思い出がたくさんあり、終わることに寂しい思いがあります。いいことがたくさんあった時間が我々を引っ張ってくれました」と振り返る。

また、母親と会場を訪れていた那覇在住の保育士の女性(20歳)は「毎年好きな映画や俳優さんを見に映画祭に来ていました。俳優さんとかタレントさんが大勢来るこんなに大きなイベントは沖縄にほかにないので、終わってしまうのは残念です」。沖縄市から来ていた会社員の女性(50代)も「映画祭は沖縄の風景のひとつに溶け込んでいます。せっかく続けてきたのに、終わるのはもったいない」と話していた。

そんな声が届いているのか、宮崎議員は「今回でひと区切りになりますが、これを糧として、これからは我々県民からしっかり盛り上げていけるような大きな取り組みにしていきたい」とこの先の継続への意欲も示した。

長きにわたって映画祭をサポートしてきた西川きよしは「今日がゴールですが、また新しい出発への第一歩だと思っています。これからまた沖縄との新たなコラボを考えていければうれしい」。桂文枝も「いったん終わりますけどまたやらせていただきたい」と力を込めた。

吉本興業が主体となってきた沖縄国際映画祭は終わるが、そのバトンを地元が受け継ぎ、沖縄主導による新たなイベントとしてのリスタートへ向けた意欲を感じさせた。

映画祭の観光観点での功績

映画祭の初期から関わってきた沖縄観光コンベンションビューローの下地芳郎会長は、映画祭の功績を「映画祭としてスタートしてから、伝統芸能や文化、ソーシャルビジネスと範囲を広げ、沖縄全域の活性化および人材育成に大きく貢献をしてきています。県民がエンターテインメントを身近に感じるようになったことも沖縄にとっての大きな効果です」と振り返る。

沖縄観光の観点でも、自然と文化という柱に加えて、エンターテインメントが新たな柱に加わったことは映画祭の功績として挙げられるだろう。

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