「成果を出せない上司」は発酵を学ぶといい理由 答えのない不確実な時代のチームマネジメント

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

この動きは、チームマネジメントとしても大いに学ぶところがあります。

ビジネスエリートが知っている 教養としての発酵
『ビジネスエリートが知っている 教養としての発酵』(あさ出版)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

あくまで個々の構成員は自分のために動くのですが、それを足し合わせることによって、チームにとって望ましい結果が自然と生まれる、というのは、多様性の時代に相応しいマネジメント方法ではないでしょうか。

そう、言うなれば、命令で動かすのではなく、環境を整えて動いてもらうマネジメントスタイルです。

個々のメンバーに対して、上意下達で「この目的のために、あれをしなさい、これをしなさい」と直接命令をして、それが組織の隅々まで伝令し、成果に向けて組織を動かしていくマネジメントがあるとしたら、発酵のマネジメントは、「個人個人の自由な行動を、調和・統合することによって、チームの成果につなげる」タイプのマネジメントと言えます。

「自分にできないことを信じて任せる」

VUCAと呼ばれる答えのない不確実な時代の中で、それぞれに個性のある多様な個人の集団を率いなければいけない現代のリーダーは、自分が精通していない分野、自分ができない分野の人材も活躍させなければいけません。ひとりの人間がすべての分野に精通することは無理です。すなわち、「名プレイヤー=名監督」という図式は成り立ちません。自分にできないことは、誰かに任せるしかありません。

組織の中で何でも自分たちで解決するのではなく、組織の外の力も借りて任せて成果を生み出していく時代において、まず、マネジメントの第一歩目、「自分にできないことを信じて任せる」という感覚を身につけるのは、できあがりを微生物に任せるしかない、発酵食品からも養える感覚です。

村井 裕一郎 糀屋三左衛門 ・第29代当主
むらい ゆういちろう

1979年、愛知県豊橋市生まれ。2002年に慶應義塾大学経済学部、2004年に慶應義塾大学環境情報学部卒業。2006年にアメリカのサンダーバードグローバル国際経営大学院にて国際経営学修士(MBA)取得。その後、室町時代の創業以来、種麹を作ってきた家業である株式会社糀屋三左衛門、またその研究開発企業である株式会社ビオックに入社。以来、得意先である味噌、醤油、清酒、焼酎などの醸造メーカーと関わり「発酵」のプロとして家業に携わる。2016年に家業を継ぎ第二十九代当主に就任。2022年には京都芸術大学大学院学際デザイン研究領域修了(芸術修士)。2023年より公益財団法人日本醸造協会理事。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事