米国の追加支援でウクライナ軍はどう変わるか パトリオットにF16戦闘機、砲弾枯渇状態に恵みの雨、

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いずれにしても今後、当面の軍事的焦点は、東部ドネツク州で徐々に占領地を広げているロシア軍がどこまで攻勢を掛け、それをウクライナ軍が跳ね返すことができるかどうかだ。

ゼレンスキー大統領は、ロシア最大の祝日である2024年5月9日の対独戦勝記念日までに同州チャソフヤールを占領するため、ロシア軍が攻勢を強めてくるとの見通しを示している。同時にゼレンスキー氏は6月にもロシア軍が大規模な攻勢を掛けて来ると警告している。

ロシアによる「夏の大攻勢」はあるか

しかしこの夏の大攻勢について、軍事筋は現時点でロシア軍にこれを予兆させる大規模な兵力集結の動きは確認されていないと指摘。実際に可能性は低いとの見方を示した。

一方、NATOの欧州諸国はロシアによるNATO加盟国への軍事的攻撃の可能性をめぐり、喫緊の課題として取り組んでいる。ドイツ軍のカルステン・ブロイアー総監は最近、今後5年から8年間で、ロシア軍が軍事態勢上はNATO諸国への攻撃が可能になるとの見方を示したうえで、これに備えた防衛力の整備を急ぐべきと指摘した。

NATO加盟の欧州諸国が現在のウクライナ侵攻について、もはやモスクワとキーウの間の2国間戦争ではなく、ロシアと欧州全体との「欧州戦争」に拡大する可能性があるとの厳しい現状認識を持っていることを示したものだ。

こうした欧州の新たな対ロ姿勢との関連で筆者には岸田文雄政権に注文したいことがる。対中関係と並んで、ウクライナ情勢に対する日本のあるべき対応について、きちんと国民に説明してほしい。

先の日米首脳会談は両国関係について、地球規模の諸問題で共同対処する「グローバル・パートナー」と位置付けた。おまけにアメリカ連邦議会の上下両院合同会議で行った演説で岸田首相はウクライナ情勢に関連して、北朝鮮によるロシアへの弾道ミサイル輸出によって「ウクライナの苦しみを増大させている」と直接的に述べた。

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