米国の追加支援でウクライナ軍はどう変わるか パトリオットにF16戦闘機、砲弾枯渇状態に恵みの雨、

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一方で、今後の戦局を占う意味で筆者がパトリオットと並んで最も注目しているのは、F16戦闘機がいつ欧州各国からウクライナに供与されるか、だ。ウクライナ人パイロットの訓練が終わり次第、2024年5月以降、さみだれ式にウクライナに供与されると言われている。

最終的には100機程度が供与されるとウクライナ側はみている。これまでロシア側への攻撃では主にドローンに頼ってきたウクライナ軍にすれば、攻撃力が大幅にアップすることになる。

F16戦闘機はいつ供与されるのか

F16の任務としては、まずウクライナ軍による東部や南部での占領地奪還作戦における上空からの攻撃支援となるだろう。今回のアメリカ支援の再開で砲弾が供給された段階で、ウクライナ軍はF16の支援を受けながら、地上攻撃作戦を再び開始するだろうと軍事筋は語る。

そうなれば、2024年2月半ばに東部ドネツク州の要衝アブデーフカからウクライナ軍が撤退を余儀なくされて以来、守勢一辺倒を余儀なくされていたウクライナ軍地上部隊が東部や南部で初めて攻勢に出ることを意味する。

撤退直前に軍総司令官となったシルスキー司令官はロシア軍に局地的に前進を許す局面はあるものの、全体的には巧みに守りを指揮し、アブデーフカ撤退以降、ロシア軍による攻撃を停滞させている。ゼレンスキー氏の評価も高いという。

軍事筋は、西側からの追加の武器支援が届くまでは、攻勢に出ることを拒否して解任された前任のザルジニー氏と比べ「持っているもので何とか局面打開しようとするタイプ」とシルスキー氏を評価している。

その例が、ロシア各地の石油精製工場への執拗なドローンによる連続攻撃だ。ロシアにとって、最大の外貨収入源である石油輸出を縮小させ、結果的にプーチン政権の財政上の継戦基盤を崩す戦略だ。

この攻撃をめぐっては、バイデン政権とウクライナとの間で、大きな溝が表面化している。原油価格の世界的上昇を招くとしてアメリカが反対したものの、ゼレンスキー政権がこれを無視する形で攻撃を続けているからだ。

さらにウクライナ軍は最近、ロシアが併合したクリミア半島にあるジャンコイ空軍基地をミサイル攻撃し、最新鋭の防空システムであるS400を破壊した。これはF16によるクリミア攻撃に移行するのを前にした準備とみられている。F16でクリミア大橋の破壊を試みる可能性もある。

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