「エンジンのニーズは、世界を見渡したときに確実にあります。特にマセラティのようなブランドにとって、すぐれたエンジンはクルマの価値と結びつきます。実際のところ、マセラティがいつまでネットゥーノを生産するのか、正式には聞かされていませんが、スポーツカーファンとしては、いつまでも作ってほしいと思います」
上記のように語るのは、マセラティジャパンの木村隆之代表取締役だ。私はこれまでに何度か、このエンジンを搭載したマセラティ車をドライブした経験がある。果たして私の感想も、木村社長とまったく同じ。すばらしいフィールのエンジンが惜しい。
私が最初に体験したネットゥーノ搭載モデルは「MC20チェロ(オープン)」で、シチリアでのことだった。そのあとは「グレカーレ・トロフェオ」というSUVを東京で。そして今回は袖ケ浦のサーキット。
2023年の暮れから日本でもデリバリーが始まった「グラントゥーリズモ・トロフェオ」も加えた、3台のネットゥーノ搭載車を乗るという、贅沢なテストドライブだった。
目がさめるとはこのことか!
MC20はクーペが2020年に、チェロが2022年に発表された。MCはマセラティコルセの頭文字。マセラティコルセの現在のメイン業務はフォーミュラEでの活動で、それによって、同社のピュアEV「フォルゴレ」シリーズとの関連性を(マーケティングを含めて)追求している。
というわけで、マセラティは今、並行するように高性能エンジン車とピュアEVとを手がけている。共通するのは、ともにマセラティコルセ(コルセはレース)の存在感の強調。同社にとって重要なキーコンセプトは、レースなのだ。
実際にMC20チェロは、「目がさめるとはこのことか!」と思うような走りっぷりを見せてくれた。
このクルマのネットゥーノは、基本設計は同じでも、最高出力463kW(630馬力)、最大トルク730Nmと、もっともパワフル。
各バンク(3気筒のブロック)に1基ずつ取り付けられた容量可変ターボチャージャーは、見た目にも巨大。先述したツインプラグ方式で最大限の効率を追求した燃焼システムとともに、低回転域から高回転域まで広い範囲で、強力なターボブーストを提供する。
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