アストンマーティン「今さら12気筒」開発の真意 835psの超パワーで「ヴァンキッシュ」に搭載

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新開発されたV12ツインターボエンジンは最高出力614kW(835ps)と最大トルク1000Nmを発揮(写真:Aston Martin Lagonda)
新開発されたV12ツインターボエンジンは最高出力614kW(835ps)と最大トルク1000Nmを発揮(写真:Aston Martin Lagonda)

電動化まっしぐらの今、あえてV型12気筒エンジンを新開発したメーカーがある。イギリスのスポーツカーメーカー、アストンマーティンだ。

この新型V12エンジンは、2024年9月に発表した「ヴァンキッシュ」に搭載されデビュー。電動化が進むいま12気筒エンジンを新開発したことに、どんな思惑があるのだろう。

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アストンマーティンは、ヴァンキッシュについて「スーパーカーにおける新たなベンチマーク」とする。12気筒エンジンは、5204ccの排気量を持ち、614kW(835ps)の最高出力と1000Nmの最大トルクを発揮。かつ、後輪を駆動して走る。昨今多い前輪駆動ではない。

「全輪駆動でなく後輪駆動を選択した理由は、複数あります。たとえばメカニカルパーツの配置で、前後の重量配分を理想的な50対50に近づけること。後輪駆動の素直なハンドリングが、アストンマーティン・ブランドの製品に合っているから、という理由もあります。競合のスーパースポーツに後輪駆動を選択するモデルが多いのも、ひとつの証明かもしれません」

「ヴァンキッシュ」は後輪駆動車ならではのプロポーションを持つ(写真:Aston Martin Lagonda)
「ヴァンキッシュ」は後輪駆動車ならではのプロポーションを持つ(写真:Aston Martin Lagonda)

アストンマーティンのシニア・ビークル・エンジニアリング・マネージャーのジェイムズ・オウェン氏が、上記のように説明した。

電動化技術を使うハイパーカーもある一方で

近年では、スーパースポーツでも燃費向上(CO2排出量低減)やトルク増強のためにモーターを備えたマイルドハイブリッドとする例が多いが、ヴァンキッシュに電動機構は備わらない。「重量バランスを考えると不必要」と判断したからだそうだ。

エンジンのみでも法規をクリアし、かつ市場で十分な競争力をもつクルマを作り上げられるという自負が、エンジニアにはあったということだ。ただしアストンマーティンは、次世代のスポーツモデルも準備中だ。

新世代のスポーツモデルのひとつは、V8エンジンに3基のモーターを組み合わせたミッドシップの4輪駆動「ヴァルハラ」。

「ヴァルハラ」はアストンマーティン初のハイブリッドスポーツカーとして誕生(写真:Aston Martin Lagonda)
「ヴァルハラ」はアストンマーティン初のハイブリッドスポーツカーとして誕生(写真:Aston Martin Lagonda)

もうひとつは、2025年のル・マン24時間レースでの勝利を狙い、WEC(世界耐久選手権)のハイパーカーカテゴリーにも参戦する「ヴァルキリー」だ。こちらも電動化技術を積極的に使っている。

「将来への布石は確実に打っています。でも、それだけがアストンマーティンでないのです」。オウェン氏は意外なことを口にする。

【写真】新型V12ツインターボを搭載するヴァンキッシュ(40枚以上)
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