「治療が2カ月、3カ月と続くにつれ、医療費の支払いはもちろん、通院やそれ以外の出費、さらには仕事を休まなければならないことによる収入の減少などの要素が絡んできます。これがいつまで続くのかという気持ちが生まれます」(賢見さん)
がん治療で見えない支出
「がん治療で見えない支出」の存在も忘れてはならない。
がんにかかるお金には、大きく分けて「(直接の)医療費」「療養に必要な費用」「その他の費用」がある。
入院、検査、手術、抗がん剤治療などの費用が直接の医療費で、標準治療であれば健康保険が使える。厚生労働省のデータによると、がんの平均医療費(入院1件あたり)は約80万円。3割負担なら約24万円となる。
加えて、入院時の食事代は1食460円、1日3食で1380円が自己負担だ(住民税非課税世帯などを除く)。入院ベッド代はかからないが、個室を希望すれば、差額ベッド代として1日プラスアルファの料金を自費で負担することになる。
差額ベッド代は医療機関によって異なり、数万円かかるところも。また、以前はテレビ代だったが、今はスマホなどで使うWi-Fi代が必要となる場合もある。
通院であれば自宅-病院間の交通費も必要で、小さい子どもがいて延長保育や時間外保育などが必要であれば、それらの費用もかかる。
がんの治療が続く場合、これらの費用を合わせて考えなければならない。
6年前、会社を退職した直後に卵巣がんと診断された自営業の吉田ゆりさんは、「治療にいくらかかるのかわからず、蓄えも減っていく。1歳と3歳の子どもがいたので、子どもの預け先や生活支援をお願いするにも、どこに何を相談したらよいかわからず、パニックになりました」と振り返る。
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