「式部を何度も口説いた」妻子ある中年男性の正体 越前国にいる式部に繰り返し手紙を寄越す
式部はそれを受け入れずに、都を去り、越前に向かいます。そこにも、宣孝は手紙を何度も送りつけてきました。最初は式部も(鬱陶しい)と思ったかもしれません。とはいえ、都から遠く離れた侘しい雪国での暮らしに式部はうんざりしていました。
ついに式部は宣孝との結婚を決意
そうした時にも宣孝の手紙は都からやって来る。式部はふと思ったかもしれません。(周りを見渡して、これほど自分のことを想ってくれる男性はいるだろうか)と。
さらには(宣孝様と結ばれたら、早々に都に帰ることができる)との想いも芽生えたと推測されます。そして、ついに式部は宣孝との結婚を決意します。
997年の秋か冬、もしくは998年の春に式部は都に舞い戻ったとされます。父を越前に残して。供の者はいたでしょうが、父のもとを離れて「一人旅」のようなものです。結婚に対する式部の並々ならぬ覚悟がそこからも窺えます。
(主要参考・引用文献一覧)
・清水好子『紫式部』(岩波書店、1973)
・今井源衛『紫式部』(吉川弘文館、1985)
・朧谷寿『藤原道長』(ミネルヴァ書房、2007)
・紫式部著、山本淳子翻訳『紫式部日記』(角川学芸出版、2010)
・倉本一宏『紫式部と藤原道長』(講談社、2023)
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