妖精に扮す社長が売る「国産きくらげ」の希少価値 箸を持つ手が止まらない「きくらげラー油」

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「障害のある方が作っているというストーリーではなく、クオリティの高いきくらげを作っていることを前面に打ち出していきたいと思って、2021年に『木耳のお店』を設立しました」

きくらげの妖精“けっぴー”誕生秘話

ところが、地元で開催されているマルシェなどのイベントに出店しても、思うように売り上げが伸びない日々が続いた。きくらげの栄養価の高さをいくら語っても、立ち止まって話を聞いてくれる客はいなかったのだ。かつての筆者と同様に、日常生活の中できくらげを意識している人はほとんどおらず、喚田さんは自身との温度差を目の当たりにした。

そこで喚田さんはきくらげを使った写真とレシピをインスタグラムなどSNSで発信し続けた。さらに、目立たないきくらげの存在を目立たせるため、自身が広告塔となってきくらげをPRしようと考えた。きくらげの妖精、けっぴーの誕生である。

「2021年3月の満月の夜、母・恵子が月を見ながら両手を空高く挙げて突然叫び出し、そのときに口の中からプルンプルルンっと生まれたのが、きくらげの妖精。けっぴーです。母の厳しい英才教育でけっぴーはスクスクと育ち、きくらげのことを多くの人々に知ってもらおうと東三河を中心に全国を飛び回っています」(喚田さん)

けっぴーこと喚田さん
「イベントに出店しても素通りされていましたが、けっぴーが誕生してからは逆に人が集まってくるようになりました」と、喚田さん(筆者撮影)

きくらげをイメージしたアフロヘアとインパクト十分な丸メガネ、そして目がチカチカするショッキングピンクの衣装がけっぴーのトレードマーク。全身ピンクは林家ペー・パー子夫妻だけではなかったのだ(笑)。

イベント会場にけっぴーが現れると、これまで素通りされていたのが嘘だったかのように多くの人が集まり、スマホのカメラを向ける。きくらげを購入して、一緒に写真を撮った客がインスタグラムに載せたのを機に、けっぴーの知名度はどんどん高まっていった。

また、けっぴーの誕生とほぼ同時進行で福島県の老舗漬物佃煮製造会社「小田原屋」に製造を依頼していたのが、前出の「きくらげラー油」だ。2021年2月に発売され、半年で7000個を売り上げるヒット商品となった。その後、「きくらげしそ高菜」や「きくらげ高菜ラー油」も加わり、全3種類がラインナップ。今では「木耳のお店」の主力商品となっている。

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