弁護士界の"細かすぎる派閥"はこう生まれた

東京3会に16会派、起源は126年前の派閥抗争

このほか、今のところ「会派」という認知は得られていないものの、登録10~15年目を定年とする若手の会同士の活動が近年活発化している。1弁の全期会の若手会員組織である全期旬和会や、東弁の親和全期会、いわゆる会派がない福岡や横浜の若手同士が交流を深めている。

もともと会派は単位会人事や日弁連会長選挙のために生まれたものであり、選挙応援が会派活動の主要業務であることは間違いない。以下の一覧は戦後に日弁連会長を務めた弁護士とその所属会派をまとめたものだ。

基本的に東京3会と大阪の持ち回りで、東京3会と大阪以外で日弁連会長を輩出した単位会は、いまのところ兵庫県弁護士会のみ。

1弁出身の日弁連会長のうち、山崎氏までの4人の就任時は、まだ会派が確立していない時期だったが、1970年代以降になると会長は全期会出身者ばかり。以後、日弁連会長の出身会派が様変わりしていることは、会派の所属人数と無縁ではないだろう。

何と言っても選挙は人数がモノを言う。最大会派出身者が多いのは当然の結果と言える。会派に属さず無所属で会長になれたのは、今のところクレジット・サラ金対策弁護団の強力なネットワークが生きた宇都宮健児弁護士だけだ。大阪もこれからは春秋会以外の会派から候補者が出るのだろう。

会派の目的は選挙だけじゃない

ちなみに、基本は持ち回りのはずなのに、2弁は土屋公献氏以降、20年間も会長を出していない。「よくも悪くも強烈な個性の弁護士が多く、会派としての意思統一もままならない」(紫水会所属の弁護士)ため、候補が立てられないらしい。

選挙活動が会派活動に大きなウェイトを占めることは確かである。だが、会派は選挙活動だけのためにあるわけではない。

委員会活動や研究会は常時行われているし、東弁の法友会と法曹親和会は、毎年分厚い政策提言集を作成している。扱うテーマは多岐にわたり、この2会派が作成した提言が、日弁連の提言に採用される機会は多い。

また、近年はクライアントからの大量のメールや昼夜を問わない電話攻勢で、心を病む弁護士が急増している。そんな心を病んだ一人事務所の弁護士のフォローも、会派活動の重要な業務の一つになりつつある。

意欲的な若手が会派活動に積極的に参加し、人脈の開拓や先輩弁護士からの業務獲得といった恩恵を享受している一方で、目先の業務をこなすだけで精一杯という若手は、なかなか会派活動に関心が向かない。

だが、「弁護士は事務所に所属していたとしても基本は孤独な職業。ふとしたきっかけでいとも簡単に精神的に追いつめられてしまう。困った時こそ会派は意外に頼れるものなのだということを知って欲しい」(54期の弁護士)そうだ。

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