社外取締役の人選で「ダメ会社」を見抜く方法 <動画>株主総会の注目ポイントはココだ!

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3月期決算会社の株主総会シーズンが到来しました。夏野剛氏は社外取締役人事と、その人選についての経営陣の説明から、「伸びる会社」「危ない会社」がわかると言います。どういうことでしょう?

 

6月1日から、上場企業の取締役選任制度が大きく変わりました。東証が発表したコーポレートガバナンスコードというものが正式導入され、ここで社外取締役を2人以上選任することが強烈に勧められているのです。

具体的に言うと、社外取締役を2人以上選任していない企業は、なぜ選任しないのか説明することを義務付けられたわけですが、これはきついですよね。なぜなら、社外取締役を置かない理由をきちんと説明できる企業なんて、ほとんどないからです。

たとえば「社内のことを分かっていないと、取締役は務まらない」などと言う企業があったら、「そんな特殊な状況とはいったい何なんだ」と詰められるでしょう。海外の機関投資家はもちろん、もう日本の投資家もその企業を評価しなくなってしまう可能性があります。

人選について、経営陣がどんな説明をするか

この記事は週刊『夏野総研』とのコラボレーションでお届けします

一方で、社外取締役を2人置いた企業も、それで安心できるわけではありません。なぜなら、なぜその人を選んだか、その人に何を期待するのか、必ず総会で聞かれることになるからです。そのとき、社長や経営陣がどう答えるのか。これは見ものになります。

選任された人の経歴は全部情報が出ているわけで、すると株主は「え、弁護士経験があるからって、どうして社外取締役にふさわしいの?」と聞けるかもしれないし、よく監査法人の人が選出されていますが、監査法人はそもそも監査をする側ですから、「そこから取締役が送り込まれているのはおかしいんじゃない?」とも、当然指摘できます。

ということで、誰を選任したかというのも見所で、そこから企業の「成長性」すら占うことができます。どういうことかというと、弁護士、公認会計士、監査系の人間、いわゆる事業にあまり口を出さない、専門分野だけの指摘をするような人を選んでいる会社は、外部の意見をあまり聞こうとしない「危ない会社」かもしれません。

一方で、ほかの会社の経営経験がある、もしくは、社長よりも声が大きいかもしれない社外取締役を選任している会社は、けっこう期待ができる。新しい付加価値を作り出す可能性が高い会社です。

私もいくつか社外取締役を務めていますが、社内と社外の常識が違うということは、取締役会レベルでもたくさんあります。そういうときに摩擦が起きます。そしてこの摩擦こそ、イノベーションの唯一の源なのです。今までなあなあで通っていたことでも、いちいちぶつかる。そこからしか新しいやり方は生まれないのです。

今回、社外取締役の人選を見て投資先を決める投資家も出てくるでしょう。今株を持っている投資家も、それをどうするか考えるでしょう。ぜひ、この点に大注目して、株主総会シーズンをお過ごしください。

夏野 剛 慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科特別招聘教授

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なつの・たけし

早稲田大学政治経済学部卒業、東京ガス入社。米ペンシルベニア大学経営大学院ウォートンスクール卒(経営学修士)。NTTドコモでiモードの立ち上げに参画。執行役員マルチメディアサービス部長を務め、08年に退社。現在は慶應義塾大学政策メディア研究科特別招聘教授のほか、ドワンゴ、セガサミーホールディングス、ぴあ、トランスコスモス、DLE、GREEの取締役を兼任。経産省所轄の未踏IT人材発掘・育成事業の統括プロジェクトマネージャー現任。ダボス会議で知られるWorld Economic Forum の“Global Agenda Council”メンバーでもある。


 

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