ふつうの脳神経外科医であればくも膜下出血が疑われたら、画像検査を勧める。もちろん、患者から「画像検査を受ける必要はないのでしょうか?」と聞いてもかまわないそうだ。
画像検査は「絶対に」先延ばししない
また金中医師は、「医師から『今すぐ脳の画像検査を受けたほうがいい』と言われたら、検査を受けること。『今日は忙しいからあとで』などと、先延ばしにしないでください」と、自戒を込めて忠告する。
「実は、開業当初、『1週間前にいつもと違う頭痛』を訴えた40代の男性患者さんに画像検査を勧めたのですが、『仕事が忙しいから検査はできない』とおっしゃるので、その日は薬を出して、お帰ししてしまったんです。翌日、警察から連絡があり、その患者さんがくも膜下出血のため亡くなったことを知りました」
警察によると、男性は風呂場で死亡していたのを発見されたという。夜間に風呂に入り、そこで2度目の出血が起こってしまったようだ。
金中医師は「思い出すたびにつらくなる、痛恨のケースです。あの時に画像検査をしていれば命は失われなかった」と話し、それ以来、強い頭痛がある場合には、より積極的に検査を受けるよう説得をしているという。
くも膜下出血と診断されたら、即、入院・治療となる。破れた動脈瘤から再出血が起こらないように手術を行うが、一刻を争うという。
「当院では手術ができないため、くも膜下出血が疑われる患者さんを診たら、血圧の変動を生じないようにまずは動かない状態で、安静にしてもらいます。同時に救急車を手配し、手術ができる専門病院に搬送します」(金中医師)
手術では脳動脈瘤の根元を金属製のクリップで挟む「開頭クリッピング術」が行われる。最近は「コイル塞栓術」といって、足の付け根の動脈からカテーテル(細長い柔らかい管)を入れ、脳動脈瘤の内側をプラチナ製のコイルで充填し、血栓化させることで、血液の流れ込む隙間をなくし、破裂を防ぐ方法もある。
「開頭クリッピング術」「コイル塞栓術」のどちらの治療になるかは、出血した瘤の場所、大きさや形状、搬送先施設の手術体制などを総合的に判断し決定されるそうだ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら