「頭痛を甘く見るな」危ない"警告頭痛"の4大特徴 致死率は40%「くも膜下出血」の前触れとは?

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ふつうの脳神経外科医であればくも膜下出血が疑われたら、画像検査を勧める。もちろん、患者から「画像検査を受ける必要はないのでしょうか?」と聞いてもかまわないそうだ。

画像検査は「絶対に」先延ばししない

また金中医師は、「医師から『今すぐ脳の画像検査を受けたほうがいい』と言われたら、検査を受けること。『今日は忙しいからあとで』などと、先延ばしにしないでください」と、自戒を込めて忠告する。

「実は、開業当初、『1週間前にいつもと違う頭痛』を訴えた40代の男性患者さんに画像検査を勧めたのですが、『仕事が忙しいから検査はできない』とおっしゃるので、その日は薬を出して、お帰ししてしまったんです。翌日、警察から連絡があり、その患者さんがくも膜下出血のため亡くなったことを知りました」

警察によると、男性は風呂場で死亡していたのを発見されたという。夜間に風呂に入り、そこで2度目の出血が起こってしまったようだ。

金中医師は「思い出すたびにつらくなる、痛恨のケースです。あの時に画像検査をしていれば命は失われなかった」と話し、それ以来、強い頭痛がある場合には、より積極的に検査を受けるよう説得をしているという。

くも膜下出血と診断されたら、即、入院・治療となる。破れた動脈瘤から再出血が起こらないように手術を行うが、一刻を争うという。

「当院では手術ができないため、くも膜下出血が疑われる患者さんを診たら、血圧の変動を生じないようにまずは動かない状態で、安静にしてもらいます。同時に救急車を手配し、手術ができる専門病院に搬送します」(金中医師)

手術では脳動脈瘤の根元を金属製のクリップで挟む「開頭クリッピング術」が行われる。最近は「コイル塞栓術」といって、足の付け根の動脈からカテーテル(細長い柔らかい管)を入れ、脳動脈瘤の内側をプラチナ製のコイルで充填し、血栓化させることで、血液の流れ込む隙間をなくし、破裂を防ぐ方法もある。

「開頭クリッピング術」「コイル塞栓術」のどちらの治療になるかは、出血した瘤の場所、大きさや形状、搬送先施設の手術体制などを総合的に判断し決定されるそうだ。

「コイル塞栓術」と「開頭クリッピング術」
丸くふくらんだ部分が脳動脈瘤。左の2つはコイルによって脳動脈瘤の破裂を防ぐ「コイル塞栓術」、右の2つは動脈瘤の根元をクリップで挟んで破裂を防ぐ「開頭クリッピング術」のイメージ(イラスト:sasami018/PIXTA)
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