世界的シェフが大興奮「日本の"意外すぎる食材"」 「伝説の農場」を訪れ大喜びした「あの野草」は?

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「別に普通だよ」と、浅野は涼しい顔で答える。

「こっちが何か特別なことをするわけじゃないんだよ」

スターシェフが「あの野草」に大喜び

2010年にピエール・ガニェール氏が来場したときのことだ。

季節はちょうど春。シェフが来る前日に、浅野は近所の山林でヨモギを摘んだ。家に帰ってそれを灰汁抜きし、アズキを炊く。そして当日はもち米を炊き、庭に臼と杵を出してガニェール氏を迎えた。

そう、いわゆる「あんころ餅」を作ったのだ。

ガニェール氏をはじめ、錚々たる顔ぶれが納屋の壁面に
ガニェール氏をはじめ、そうそうたる顔ぶれが納屋の壁面に(写真:筆者提供)

納屋の壁に掛かっているのは、餅つきに夢中になっているシェフの姿をとらえた写真だ。

日本人からすればあまりにもありふれた食べ物である一方、フランス人シェフにとっては「まったく新しい出会い」だった。

ガニェール氏は「興味津々だった」と、浅野は笑って振り返る。

「シェフは最初びっくりしていたけど、まあ食べること、食べること。『ヨモギはフランスにもあるけど、こういう食べ方はしない』と言ってね」

ヨモギ
春になると山林のあちこちで芽吹くヨモギは、もっとも身近な野草のひとつだ(写真:そよかぜ/PIXTA)

帰りがけに、「今回の日本滞在で、今日がいちばん楽しかった」とガニェール氏は言った。

その後ろ姿を見送った浅野は、「日本のレストラン業界でこれから起きる変化」がはっきり見えたという。

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