「一期一会」の理解度にマネジャーの実力差が出る できる上司は自然とやっている仕事依頼のコツ

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「私が新入社員だった頃は、いきなりお客様のところへ行かされたもんだ。上司は何も教えてくれなかった。泣きそうになりながらお客様をまわったんだぞ」

「だけど、あの修業時代があったから、今の私がある」

こんなエピソードトークをする上司の気持ちを、私もわからないでもない。バブル全盛期に社会人になった「昭和ど真ん中世代」だからだ。

とはいえ、このような理不尽な修業時代は、ないほうがいいに決まっている。自分が苦労したからといって、若い部下にも同じ経験をさせる必要はないのだ。

仕事を依頼する「前」にすべきたった一つのこと

大事なことは部下と一緒に「見通し」を立てることだ。特に経験の浅い部下を持つ場合は、

「とりあえずやれ」

ではなく、

「一緒に仕事の見通しを立てよう」

と声をかけるのだ。

「見通し」とは、物事の進展や将来を予測すること。具体的には、「始めから終わりまで」を明確に見通せるようにすることだ。

たとえば、分析の仕事を依頼する場合、どのようなパラメータが重要か、それをどう分析し、結果をどうまとめるかという点を、部下に問いかけることで明確化させるのだ。

急かさず、否定せず、丁寧にやろう。困ったときには、掘り下げる質問を繰り返してみる。

「より具体的には何をすればいい?」

「たとえば何がある?」

具体的に掘り下げるには、この2つの質問は便利だ。

部下の考えを促すコツは、尋問にならないよう柔らかい表現で質問していくこと。そして適宜助け船を出すこと。上司自身もわからなければ、素直に伝えるのもいい。

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