マクドナルド「どん底→V字回復」の知られざる軌跡 異物混入時代から率いたカサノバ会長のリスク対応力
2017年8月には公式サイトのカサノバ氏のあいさつが突然関西弁に変わっており、大きな話題を呼んだ。
これは、同月に行われたマクドナルドの愛称が「マック」なのか「マクド」なのかをSNSで投票してもらう、「マックなのか?マクドなのか?おいしさ対決!」キャンペーンの一環として行われた施策だった。最終的に関西勢の「マクド」が勝利したことを記念して、カサノバ社長(当時)の公式サイトあいさつ文を関西弁に変えるという、遊び心のある施策を行ったのだ。
人々の親しみと関与度を増すために、さまざまな顧客参加型キャンペーンを行ったが、企業広報とも連携させ、カサノバ社長のイメージアップにもつなげていくという、戦略的かつ、首尾一貫した取り組みであった。
マクドナルドに学ぶ「ピンチをチャンスに変える」秘訣
不祥事をきっかけに、全方位的な改革を行うことで、レピュテーション(評判)と業績の早期回復と向上を実現することができた。2014年~2015年にわたる一連の不祥事がなければ、マクドナルドはここまで業績を伸ばすことはできなかったのではないかと思われる。
そういう意味では、カサノバ氏指揮下の日本マクドナルド社は「ピンチをチャンスに変えた」好事例と言えるだろう
もちろん、この改革はカサノバ氏ひとりの力でなしえたものとは思えない。社内外の多くのブレインが関わり、一丸となって改革を進めたことで可能になったものに違いない。ただ、経営者にとって、第三者の意見を取り入れて、自らを変えていくことは、そう容易なことではない。だからこそ、多くの企業は不祥事が起きた後、業績が低迷を続けたり、経営者が退任を余儀なくされたりするのだ。
マクドナルドは、改革の過程においても、数多くの批判にさらされ続けていた。顧客の声を聞いたり、顧客参加型の施策を行ったりすること、一時的にネガティブな声が増幅されてしまった側面もあった。しかし、それを続けることで、最終的に批判の声は減っていった。
批判はされないに越したことはないが、ブランド価値が毀損された企業が信頼回復を達成するうえで、批判は避けては通れないいばらの道でもある。
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